開発ストーリー 慈姑で、くわいチップ

クワイをチップにしてみました。

クワイで新しい市場を作る

株式会社松本では、メーカー様、飲食店様の商品開発のお手伝いをさせていただいております。

~ 松本社長の商品開発ストーリー ~

シリーズ6回目は、お正月によく使われる縁起物の クワイ です。

その依頼は突然にやってきました。
1月も押し迫ったある日、一本の電話がアクセルを深く踏み込むことになりました。

クワイの加工品を考えます。

岐阜から送られてきたクワイ

「岐阜青果がクワイの在庫に苦慮している。加工してでも販売する知恵を貸して欲しい。何か考えてもらえないか。」

 クワイは正月の祝い肴で古くから 「芽が出る」 ということでお祝い料理に使用されています。特に、正月のおせち料理の食材として珍重されていますが、その需要は正月を除けば多くはなく、収穫は11月下旬から12月下旬で正月を逃せば時期はずれとして値崩れが激しい商品です。

どうしたらクワイの価値を上げられるのか、需給から考えてみる

 「大きいものは六方や松笠にむいて瓶詰めにしたが、むくと小さくなる中サイズのクワイが生の状態で1.6トンあり、捨てるわけにもいかず、何としても換金したい。」 そんな依頼です。

どんな加工をして需要を喚起するのかが一番の問題となりますが、しかもこのクワイの在庫は今年だけではないそうです。年末年始に欠品させるわけにはいかず、しかたなく必要以上の仕入をして、何年も続けて大量の在庫となり会社の経営の足を引っ張っているとの事でした。

クワイをスライス

試作はクワイをスライスするのにも手作りです。

ですので、いまのところ来年も販売できる数は限られており、今年は既存の大きな市場を狙うのではなく、出来ればニッチで新しい市場を創造するのがベストだと意見が一致しました。もちろん目論見が成功すれば、小売用として大きくトライすることにはやぶさかではないでしょう。

検討の結果、 「くわいチップ」 を作ることに合意しました。

れんこんチップ製造の成功事例を適用してみる

 株式会社・松本では、何年も前から 「加賀レンコンのチップ」 の製造にトライしていましたが、去年やっと常温の状態での長期保存が可能で、油もまわる (油臭くなる) 事のない製造方法にめどを付けていました。

クワイチップは、薄さと揚げ加減が美味しさの秘密です。

クワイを油で揚げます

そしてその原材料となる特別栽培のレンコンの入手ルートも決まり、いよいよ今年から製造を開始するのに当り、その販売チャネルを考えていたところでした。

と、いうのも現在市販されている 「れんこんチップ」 は中国産がほとんどで、品質は特に良くもなく、価格が優先される商品です。その販売先は業務用のおつまみとしての需要のみでした。
よく秋に料理屋さんに行くと前菜に2・3枚使われているものですが、金沢ではその品質の問題で、自分の調理場で作られているところがほとんどでした。

蓮根チップの試作過程で、油で揚げています

蓮根チップの試作過程で、油で揚げています

ここに業務用として品質と味のレベルを上げた商品を投入するのもひとつの手ですが、全国的な需要は、季節商品であるだけに大きくありません。むしろ家庭用として大規模小売店にビールにピッタリのおつまみとして小袋にしてでの販売のほうが全体のパイが大きいのかもしれません。

クワイはびっくりするほど美味しく仕上がりました

 さて取り急ぎ、そのクワイを取り寄せ試作をいたしました。その結果、試食した人すべてから、クワイ自体がほのかに甘くて美味しいとの評価をいただきました。

しかし問題は、大量生産のプラントでの製造とは異なり、味を優先にするために、ひとつひとつのクワイの状態を確認して、カット、揚げ、味付け、選別、袋詰めまでの一連の作業がすべて手作りのため原価がかかりすぎることでした。

出来上がりの蓮根チップ

出来上がりの蓮根チップ

もしそれがクリアーできたとしても、内容量を多くして包材などを安くして業務用として販売するか、家庭用として量は少なくして、まだ見えない大きな市場にトライするのか、販売チャネルをどこにするのか。まだまだ超えなければならないハードルは数多くありそうです。

しかも、そのタイムリミットはもうじきやってきます。

今回の依頼は、前述の 「加賀れんこんチップ」 販売のトライアルとして最適な案件となるでしょう。

くわいチップ ・ れんこんチップ   販売者 株式会社 松本