加賀の伝統食材を、気軽に食してもらうために。~鴨団子
株式会社松本では、メーカー様、飲食店様の商品開発のお手伝いをさせていただいております。
~ 松本社長の商品開発ストーリー ~
シリーズ5回目は、加賀の伝統ジビエ・鴨肉です。
加賀地方の南部、加賀市で行われる鴨の坂網猟。江戸時代から続く伝統猟の一つです。加賀市では、この猟で獲られる鴨を使った鴨料理が有名で、いくつかの名店もあります。一方、金沢でも伝統料理の 「 治部煮 」 に鴨肉が使われるなど、当地では昔から親しまれる食材です。
また鴨肉はビタミンや不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、とても健康にいい食材として海外でも定番食肉として人気があり、また世界三大珍味のひとつとして、肝臓に脂肪を過剰に蓄えさせるフォアグラにすることでも有名です。
鴨団子でもっと身近な食材にしょう
この鴨肉を、もっと安価で様々な形で味わってほしいと考案したのが、「 鴨団子 」 です。こちらの商品は、市内のホテルや料理店での一品や、おせち料理などに使われています。もともとメーカーの既製品としてあったのですが、最近の偽装や異物の問題もあって原産地が某国のものや製造過程が見えないものは困るとのコンプレを受けていました。
「 ISOまでとはいわないけどさ、せめて HACCP ( ハサップ ) 準拠くらいで安心安全なものを提供してよ。しかもあの既製品はサ、鴨の肩肉を使っているし、絶対に別に脂身をいれて量を増やしているのに間違いないから、脂っぽくて脂っぽくて使えないんだよネ。」
だとすれば原産地は某国はダメで、台湾かマレーシアなら少し高いくらいなので、それでOKですか?
「 いや原価の問題ではないので、いいものを使ってくれない。」 との要望でした。
美味しさの秘密は、材料と調理方法です
となると、鴨のチェリバレー種ならは日本人の味覚にあうように飼育されているので、この種にするとして、フランス産とハンガリー産で選ぶとすればハンガリー産の方が美味しいので、それにしてあっさりとした味に仕上げるため脂身を落とした鴨ロース肉を選ぶことにしました。
チェリバレー種の特長としては、肉質が柔らかく、鶏の肉より赤身が強く脂肪は淡泊で風味が良いのです。いわゆる一般的に出回っているブロイラー臭 ( 鶏くささ ) がないため、鴨鍋、ステーキはもちろん様々な料理に使えます。
国産の鴨肉もそうなのですが、良い肉はブロイラー臭がありません。冷蔵庫で一週間ほど寝ていて初めて出てくる臭いなのです。もちろん本物の地鶏にもあの臭いはありません。( だとすると、世間でよく言う、鶏くささとという表現はおかしいとつねづね思っています。)
当然ながら美味しい鴨の味がしないと話になりませんので、鴨肉をお湯の中に落とし茹でて鴨の味が抜けてしまうのを危惧して、ボイルするのではなく、鴨の味を中に閉じ込めるべく蒸し上げることにしました。
使う鴨の原料さえ決まってしまえば、あとは副材料を何にするかですが、昔から 「 鴨ねぎ 」 という言葉があるように鴨と葱との相性は最高です。これは 「 鴨がネギを背負っていればそれだけで最高の鴨鍋が食べられる 」 という意味です。
科学的には、独特な肉の臭いがある鴨肉をねぎが持つ匂い成分 「 アリシン 」 によってカバーされる点にあります。ねぎと同じように玉ねぎも多くのアリシンを含んでいますので、どちらにするかは迷いましたが、玉ねぎにすることにして、生姜も加えて味を調えることにしました。
試行錯誤こそ美味しさの秘密です
何回かの試作の結果、出来上がった鴨団子は素材の味そのものです。この食材に料理人の感性により味付けされ、提供される鴨団子を楽しんでいただければ幸いです。
鴨団子 販売者 株式会社 松本