農家プロジェクトは、石川県内の農家と当社が深くつながり、そして農家と当社のお客様をつなごうというものです。
最初の項は、なぜこのプロジェクトを始めたかです。
がんばっている農家さんがたくさんいるのに、知らない人がとても多いと感じています。
というより、一般の消費者は誰も本当のことを知っていません。知ろうともしていません。
小売店に並んでいる野菜や米は、品種が同じならどれも同じ味だと思っています。
小さな会社だからできるプロジェクト
農家は農家で少しでも美味しいものをと、考えながら作っているのに、その苦労を、涙と汗を消費者に伝えようとしていません。日本人らしく奥ゆかしいですよね。
でもそれは自分を自分で否定することになるので、ある意味一つの罪なのではないでしょうか!
だからこそ2018年秋、当社の未来プロジェクトの一つの「農家プロジェクト」が始まりました。
これはまず手始めに石川県内の農家と当社が深くつながり、そして農家と当社のお客様をつなごうというものです。
JAや市場と農家はギリギリつながっていますが、八百屋さんなどの流通業者を通して、決して料亭やレストランの現場の声が農家に伝わっているとはいえません。
最前線の現場では、効率一辺倒だけではなく、価格ありきでもなく、お客さんの笑顔のために、とがった野菜も欲しているのです。
また作りすぎたり価格が暴落して原価を割って泣く泣く出荷したり、畑の肥やしとする農家や意欲的な農家の取り組みがJA出荷という枠組みの中で評価されていない場面も多くみてきました。
「農家プロジェクト」の最終形態は、農家さんの農作物を当社と一緒にアイデアを出し合い、新しい価値を創造して商品化を目指すプロジェクトです。
結果として、農家が丹精を込めて作ったけれど形や色が悪く規格外になった農作物も利用して商品化したり、農家さんの思いを汲み取り六次産業化の支援が出来るように目指しています。
具体的には三年後をめどに次のステージでは農家と食品工場をつなぎ、ミシュランの星付きの料理人たちのアドバイスを受けながら六次産業化への手助けや加工品の製造をおこなうというものです。
小さい会社だからこそ、しがらみもなく、フットワークも軽く、臨機応変にすばやく対応できるのが私たちの強みです。
友に考え、友に悩み、友に進みたい
農家の中には、地域や環境、次世代のことを第一に考え採算ギリギリでも頑張っている人がたくさんいます。
例えば、れんこん農家の東さん。彼はもともと農薬を使ってれんこんを栽培していました。
しかし毎朝、畑に出て大量の虫が水面に死んで浮いているのを見て「子供たちに安心して食べさせられるものを作りたい」と無農薬に切り替えることを決意しました。
そんな思いを持っている農家と私たちは仕事をしていきたいのです。また、良い商品を作っているけれど市場では評価されていないものや、規格の制限から販売ができていないものを世に出したいのです。
お客さんにたくさんの料亭やホテルがあり、多くの工場との繋がりがある私たちだからこそできる事業を進めていきたいと思っています。
一般的に農家の方は「とりあえず、余った作物やB級品は、商品化したらいい!」との考え方が主流です。だから六次産業化はうまくいかないのです。「目の前にあるものを何とかしたい。」ではなく、成功のためには「作った農作物に対する思い」が前に出るのが必要なのです。
私の友達の五郎島金時いも農家のかわにさんは、「五郎島金時大好き!」「五郎島金時を世界に広めたい!」と常に公言しています。この思いが商品を創りあげるのです。
また同じく友達の米農家の 佛田さんは、石川県で最初の農業生産法人であり卓越したマーケティング能力や経営手腕で六次産業化にも成功しました。農家というより卓越した経営者である彼の先立つ成功が、石川県の最初の成功事例ともなり多くの若者が彼の門をたたき指導を受けていました。もはや「ぶった農産」という名前は一つの農産物ブランドとなっています。
私たちは、農家の方と「共に考え、共に悩み、共に進みたい」のです。
でもその為には利害関係を超えたつながりが必要となります。その時その時の瞬間の値の動きに一喜一憂することなく、長いスパンでお互いがお互いを認め合い、そしてお互いを高めていく関係が必要不可欠になります。
だからこそ、漢字の「共に」は「友に」変わり、
「友に考え、友に悩み、友に進みたいのです。」
未来プロジェクトだからこそ「インターン生」で
㈱松本の未来を託すプロジェクトです。
だからこそ最初に農家と接触してもらうのはインターン生にお願いいたしました。
もしかして農家の方は社員ではなくインターン生が訪れることに対して不満を持たれるかもしれません。でも心配することはありません。
去年、和歌山県の20代という若い桃農家の 藪本あざさ さんから「初めて無農薬で桃を作り始めたとき、周りの人すべてから、絶対にできないからやめなさい。すべての農地がダメになってしまう。」と批判というか多くの忠告を受けたそうです。
でもいまでは立派に無農薬で育ち、六次産業化も順調にすすんでいます。と直接お聞ききいたしました。
未来を作るのはいつでも若者たちです。できないをできるに変えるのは若者たちです。明治維新がそうだったように既成概念を超えて時代を作れるのは若いからこそです。
私たちの世代が、少しばかりの知ったかぶりをした知識と経験でブレーキをかける必要はありません。
インターン生には自由闊達にプロジェクトを進めてもらいます。悩み苦しむことも多くあるかと思いますが、それらが彼らの成長となり、会社の成長になると信じて疑いません。
最初は農家への調査やヒアリングから始まりますが、それがどのような形になっていくか。どうぞ楽しみにお待ちください。
次回からは担当のインターン生からのレポートです。
では紹介をさせていただきます。金沢大学3年生の 浜本彩佳(はまもとあやか) さんです。