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食材の旅・豊洲市場

豊洲市場・視察 豊洲市場にて

豊洲市場

株式会社松本では、生産者や収穫者と直接コミュニケーションをとり、安心・安全で質の高い食材の確保を行っております。

~ 松本社長の食材の旅 ~

 シリーズの7回目は、築地から豊洲に移転した市場の様子です。

2018年10月25日(木)開業してまだ2週間の東京・豊洲市場へ近江町市場の魚屋の有志のみなさんとともに視察に行ってきました。

ユリカモメからの連絡通路

ユリカモメからの連絡通路

今回ご案内いただいたのは、豊洲市場を代表する荷受7社のひとつ大都魚類株式会社の宮田明彦 取締役と鈴木富雄 課長代理です。

お二人には豊洲市場全体が開業まじかで、実際に稼働してみないとわからない試行錯誤の最中にもかかわらず、貴重な時間を取っていただき感謝いたします。

宮田明彦 取締役

宮田明彦 取締役

■ できたての豊洲市場へ視察に

石川県と東京都の違いはありますが、同じ市場関係者という事でセリ場の方へ直に降りての案内をしていただくはずでしたが、翌年の1月までは同じ魚屋の市場関係者でも開業まじかという事で東京都から入場が規制されていて、セリ場を上から眺める見学者スペースからの案内となりました。

まぐろセリ全景

まぐろセリ全景

これは残念で仕方がありませんでしたが、宮田氏からは「来年の1月にお待ちしています。」と言われれば「はい」と言うしかありませんでした。(笑い)

見学者スペースの是非に関しては、確かに前の築地市場では直にセリ場に入ることができて、マグロの競りを目の前で見学することができました。

そのため臨場感や迫力が直に肌に感じることができて特に外国人観光客に大人気でした。しかしその人気ゆえに運営に支障が出ていました。また見学者が持ち込む、靴底の土などが空中に舞ったり、服に付着している菌などの衛生上の問題もあり、セリと見学者を隔離するのは仕方がないことだと思います。だからその見学者を飽きさせないよう、展示コーナーが随所に登場しています。

見学ギャラリー・展示物

見学ギャラリー・展示物

■ 本来の業務に特化

ゆりかもめ「市場前駅」からの連絡通路を通ってすぐに現れるのがこの見学ギャラリーです。豊洲市場の基本的な情報や歴史を知ることができ巨大なマグロの模型と一緒に記念撮影もできますが、いかんせんパネルなどの展示物だけで「体験」部分がないので観光施設としての魅力は以前に比べて相当低下していますので、いずれ飽きられていくのではないでしょうか。

かっての築地市場では肌で体感できるセリと新鮮な魚介類を使った食事が一体になった観光地でした。

豊洲内の飲食店

豊洲内の飲食店

豊洲市場においてその一つがレベルダウンすれば、相乗効果が消えるのは仕方のないことです。
しかし本来の市場の役目は安心・安全で新鮮なものを市民に届けることです。それが築地では広報としての役目が大きくなりすぎて、観光が目玉の本末転倒の事態になっていましたので、これは仕方がないことなんでしょう。

さて、豊洲市場の特徴は市場施設をパーテーションで囲むことにより、温度を適切に管理できる閉鎖型施設にして商品を高温や風雨の影響から守り、鮮度を保つことが可能となる点です。

また、以前は売り場と駐車場との距離が遠く、荷物を搬入するのに時間と手間がかかり、関係者の駐車場も市場から遠くて不便でした。いまは目の前に荷物を整理するスペースや駐車場を確保することができ、車や荷物がスムーズに流れる市場になったので物流の観点から見てもより便利になっていました。

広大な敷地の豊洲市場

広大な敷地の豊洲市場

ただ築地市場の2倍もある大きな豊洲市場ですので、「歩く距離は以前の3倍以上になって便利かどうかは微妙」だそうです。
しかし健康にはなるかもしれないと笑って説明をしてくれました。

■ 市場外流通が首を絞める

あまり知られていませんが、実はその一番の特徴は「パックセンター」加工パッケージ棟だと思います。

実は築地市場の水産物取扱量は年々減少しており、かつての半分近くになっていて経営的に難しくなっています。この3年間で約100社の仲卸業者が廃業しているのです。

セリを待つ魚たち

セリを待つ魚たち

それはスーパーや個人での産地直送など市場を通さない市場外流通取引が増加しているのが理由です。

例えば、回転寿司では安くて美味しい様々な魚を季節に関係なく味合う事ができます。これは商社や大手水産会社が、海外から大量に水産物を買い付け、卸売り市場を通すことなく、直接外食チェーンやスーパーなどに販売しているからです。

回転すし

回転すし

これら商社などが漁船と直接契約を結び、マグロなどの高級魚の場合は、漁船がとってきた魚を一隻分全て買い取ることも珍しくありません。さらに、買い取ったマグロを自分の会社で解体し、インターネットで直接消費者に販売する水産会社もあります。

また、冷凍魚や養殖魚のようにサイズなどが規格化されていて、目利きの必要がない場合は、卸売市場を通す必要性がありません。このような卸売市場を通さない流通を市場外流通といい、その量は通常の市場流通に匹敵するほどまでになっています。マグロの場合は半分が市場外流通です。

仲卸業者の手数料など、流通段階でかかる様々な費用をカットできるのが、市場外流通を利用する大きなメリットです。最近はこの影響で、卸売市場で水産物を買い付ける仲卸業者が減ってきているのです。

そしてインターネットの普及で、漁師などの生産者などから直接消費者に水産物を売る産地直送販売も行われています。この販売方法では、ホームページなどで消費者が生産者や産地の漁協に直接注文することになります。

■ 新戦略「パックセンター」とは

生き残りをかけて、この市場外流通にストップをかけることが必要となります。飲食店や小売店などの新たなニーズに応えるべく「加工」「小分け」などの機能を強化するために、パッケージ棟が使われるのです。

加工パックセンター

加工パックセンター

というのも、いま飲食店にしろ小売店にしろ急激な人材不足に陥っているのです。

特に飲食店においては、一次加工をするための人材を確保することができていません。それはかっては大学生のバイトの定番だつた飲食店のアルバイトがまつたく確保することができず、その分を社員に負荷をかけてやっと営業を維持している状態だからです。(いわゆるブラック状態になっています。)

帝国データバンクの調査(参考:人手不足に対する企業の動向調査 2017年1月)によると、飲食業界の80.5%が「従業員が不足している」と回答しています。全体平均は30%弱であることと比べると、飲食業界が抱える人手不足の課題が深刻であることがわかります。

その為、飲食店の一次加工をする社員の代わりに魚屋がその仕事を代行すべく、魚をフィレにしたり、切り身にしたりしてて、あるいはそれを真空パックにして納品するのです。つまり飲食店などのお客様に、このパックセンターを自社のセントラルキッチンの代わりに使ってもらうのです。

また新しい流れとして青果卸と連携して、カットした魚、カット野菜などと調味料以外の料理の材料をすべてそろえて、個人の家庭にとどけるネットサイト「豊洲の目利き」なども現れています。

パックセンター01

狭い パックセンター内の作業場

しかし、見た限りでは、豊洲の仲買すべてが「パックセンター」を利用するには狭すぎます。そして個別のスペースも狭すぎてすべての作業を行う事は難しく思えます。

考え方はよいのですが、すべてが中途半端すぎるように感じました。

また人手不足は朝の早いこの業態にも確実にむしばんでいます。従来の卸売りの仕事とこの新しい仕事は並列してやることが難しく、相乗効果が出しにくいため合理化することも出来ません。

むしろまったく別の仕事として子会社や別会社での対応の方が堅実かと思われます。しかも卸売市場の物流は標準化・機械化されておらず、効率も悪く、この人手不足に時代にまったく対応できていないように感じるのです。

パックセンター02

見学した中で一番広い作業場

まず何よりも重要なのは、卸売市場の一番の目的「集荷・分荷機能」=「物流機能」の強化だと思っています。

つまり全国各地から多種多様な商品を集荷するとともに、需要のニーズに応じて、迅速かつ効率的に、必要な品目、量に分荷して消費者に届けることなのです。

いまスーパーの売り場をのぞくと豊富に魚は並んでいますが、年がら年中おなじ魚が並び、種類も少なく、季節感のかけらも感じられません。
また回転寿司でも人気があるのはマグロやエビ、サーモンと、すべて輸入魚です。

豊洲市場もあまり効率化と利益性を求めていくと、季節に応じた国内外の多種多様の魚が豊富に揃うという一番の魅力がなくなり、日本中どこへいっても同じ品ぞろえのスーパーと同じ事になるのではないかと危惧しているのです。

<参考> 卸売市場の機能は、以下の4つです。

①集荷・分荷機能

②価格形成機能

需給を反映した迅速かつ公正な評価による透明性の高い価格を形成する

③代金決済機能

販売代金の迅速・確実な決済を行う

④情報受発信機能

需給にかかわる情報を収集し、流通の川上・川下にそれぞれ伝達する

 

 

 

 

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