ずわいかにの初物が130万円!
冬の味覚を代表する日本海側のズワイガニ漁が11月6日、解禁となりました。
今年は初日に海が荒れ出漁しない船も多くありましたが、なんと初セリでは鳥取県の最高級ブランド松葉かにの 「五輝星 (いつきぼし) 」 が昨年を60万円上回る130万円、なんと一匹が130万円!でした。
( 福井の越前ガニ「極(きわみ)」も昨年の3倍以上の価格となる37万円という高値でした )
大きく値を上げた背景には、カニに付けたタグによるトップブランド化の定着が進んだことがありそうです。
通常であれば、仕入れたものは自社の利益を上乗せして販売されます。
ですが、ニュースに出るような 「ご祝儀相場」 の値段は、普通の取引価格をかなり上回っていることは間違いありません。原価で足一本が25万円以上!するものを食事として食べる人がいるのかです。
いえ、いえ、食べるために買う人ではありません。
2013年マグロの初せりでは1億5540万円
初セリと言えば、年明けのマグロの初セリでは、マグロが1千万円を超える値段で競り落とされる、というニュースが毎年恒例となっています。
至上最高値は 「すしさんまい」 さんがせり落とした2013年の222kgで1億5540万円です。

築地場内
マグロは約6割が食べられるそうなので、200キロのうち約120キロが食べられますから、すし一貫に使うマグロは約15g程度らしいので120キロで計算すると約8000貫です。
そうすると一貫あたり、なんと17500円となります!!(しかも原価で)
売価に直すと、トロなら1カン当たりが4万~5万円以上になるそうです。
・・・・少なくとも回転寿司で出せるような値段ではないはずです。
それを、通常価格の中トロが298円、大トロは398円で提供されていました。消費者にとってはとってもお得で嬉しいことかもしれません。マスコミもまるで正義の味方のように褒め称えます。でも少し考えてほしいのです。
仕入値よりも低い金額での販売となれば、当然損失が出てしまいます。
なぜ、ご祝儀相場を作る会社は、損失を出してまで高い金額でカニやマグロを競り落とすのでしょうか?

マグロの解体
一番の要因と思われるのは、広告宣伝効果です。
1匹130万円するズワイガニの価値も広告宣伝効果にあるのです!
初セリでの高額落札は、テレビ、新聞、最近ではネットニュースなどで取り扱ってくれる可能性が高いリソースです。
そうすると、わざわざ広告費用を出さなくても、自社の名前を大々的に取り扱ってくれるのですから、周知効果はかなり大きく期待できます。
また、それにより集客が高まると、それ以外の商品販売も見込めるため、そちらの利益で高額落札分の損失をカバーできることになります。
つまり広告料に換算すると、
「新聞は約7800万円。テレビは21億4000万円になりました。もしすべての番組を入れれば、軽く35億円は越えるはずです。さらにインターネットやラジオ、雑誌を加えれば、およそ40億円というところでしょう」(広告代理店社員) (週刊FLASH 1月29日号より)
実際に松葉ガニを競り落とした業者は 「少しでもPRできれば」 と話していたとのことです。
新しいブランド名や鳥取県の名前を広めたい、という思いで高額での落札となったのでしょう。
祭りと見るか、流通をゆがめる弊害と見るかです。
確かにご祝儀相場は二三日もすれば平常に戻っていくのですが・・・・・
一般にはあまり知られていませんが、 「卸売市場法」 という、取引ルールを定め、商品を広く円滑に流通させることを目的に制定されている法律があります。法律の趣旨からして、あのような市場を歪める異常な値は認められるべきではないと私は考えます。
確かに誰も損はしていないわけです。落札した人も、競り合って逃した人も、ある一定の宣伝効果があり、末端の食べる人も通常価格で販売されるわけですから誰もマイナスはないように見えます。
しかし、それに引きづられて他のマグロもカニも二・三日は値が高くなる可能性があり、それが二三日で元に戻るという保障はありません。もしそうなった時、その責任は誰が取ってくれるのでしょうか?

マグロの寿司は美味しいけれど・・・
卸売業者によりますと、その日、築地市場で取り引きされたマグロは、生鮮と冷凍を合わせておよそ2400本に上りますが、5日、最高値となった1本1億5000万円余りという価格は、ほかのマグロをほとんど買い占められる額だということです。こうした価格の高騰について、市場関係者からは 「異常な事態だ」 という声も出ています。
マグロは国内だけでなく世界から入ってきていて、市場関係者からは、初せりの価格の高騰で海外の取り引き先から日本では高値がつくという認識を持たれて価格がつり上げられ、結果として消費者が購入する価格にもはね返るおそれがあるとして、影響を懸念するのです。
確かに価格は需要と供給の関係ですから、需要がなければ値が下がるわけですから、初値はお祭り価格だから特別で、年間を通してなら正常といい繕うことは出来ますが・・・。でも、もしそれが日常になった時・・・。
一房110万円のぶどう
今年の夏 (2016-07-07)、石川県が開発した高級ぶどう 「ルビーロマン」 の初競りが7日、金沢市中央卸売市場 (金沢市西念4丁目) でありました。最高で1房110万円の高値がつき、昨年記録した1房100万円を更新しました。
このルビーロマンには30粒余りの実がついていて、1粒当たりにするとおよそ3万5000円になります。たった一粒がが35,000円です!
官民揚げてこの快挙 (?)に浮かれていますが、私は疑問に感じます。
なぜなら極論をいうならば、買い手と売り手が共謀すれば、一年の相場が作れるのです。あるいはマスコミが作れるともいえるのではないでしょうか。
意識してそこに 「宣伝になるよ」 との言葉を掛けて、あるいは自ら話題を作っていくのは、漁業者や生産者に応えることはできても、その視線は消費者にはなく、単なる話題作りですから、いずれは自らの首を絞めることにはならないでしょうか。
そしてなにより一般大衆の幸福を目的にしたこの法律 「卸売市場法」 の趣旨に沿うのかどうか疑問です。
金沢では新幹線が開業して、多くの地元の特産品、大きな目で見れば日本海側の独自の物産に注目が集まっています。
しかしながら工業製品なら需要が増えたからと工場を増やしたり、農業なら農地を増やしたりして供給を増やすことはできますが、海産物は増やすことができず ( むしろ水揚げは年々右肩下がりです) 、バブル期のように取り合いがすでに始まっています。
めくら買いの「のどぐろ」。あなたの目は開いてますか?
例えば、人気の 「のどくろ」 は新幹線開業二年前までは、ウイークーディなら卸値でキロが2000円後半~3000円後半だったものが、今では韓国や中国から例年以上に入荷しているのにもかかわらず、同等品が8000~10000円、週末には12000円超えも珍しくはありません。
一般に生鮮食料品は供給が三割下がると売値は倍になるといいますが、たしかに 「のどくろ」 がブームとなり観光客は猫も杓子も 「のどくろ」 「のどくろ」 ですが、供給は落ちず、増えているのにもかかわらず卸値が3倍以上になっています。

のどぐろが高すぎる!
それではのどぐろを食べるような客層 (需要) が三割以上増えたかといえば、そこまでは増えてはいない。もともと客単価が2000円、3000円程度の夕食では、のどぐろを付けるのは原価からいって難しく、他の魚だったわけです。それをお客さんの要望だからといって無理をして、小さくても付けてしまう。
その次に来るのは、韓国産でも中国産でもなんでもOK。
「へぇ~、これがのどぐろ!高級魚なのよ~」 食べたという体験だけで喜ぶ観光客が目の前にあります。
でも日常に戻り、振り返った時、また金沢に食べに来たいと思うでしょうか?
それは次につながるのでしょうか?
小さくても高いんですよ。との飲食店の声。お客様のたっての希望ですから。
単なる自己満足に過ぎません。口の肥えたお客様はがっかりです。良心的な飲食店は儲かっていません。
無理して提供するより、レベルの落ちたものを提供するくらいならもっともっとおいしい魚があるはずです。もっとお客様に満足してもらえる魚があります。あなた方が無理して買うおかげで、需給の関係以上に小の値が上がれば大も上がる。まわりまわって自分で自分の首をしめていてるのが現状です。
むかしむかし、数の子がない!ない!と演出して、商社一丸となって売り惜しみをし、値段を何倍にも釣り上げたことがありましたが、まさか今回はそれはないと思いますが。だからこそ、
もっと工夫しなさいと言いたい。確かにお客さまは 「のどぐろ」 を食べたかったかもしれません。
でも本当の本意は、金沢でなければ食べられない美味しい物が欲しかったはずです。目の前に現れた要望ではなく、真の心を。お客様の 「そうそう、こんなのが食べたかったんだ!」 との内なる声なき声をかなえてあげる事こそ、真のおもてなしだと私は思うのです。

株式会社 松本
https://matumoto.co.jp/
株式会社松本は、食文化と歴史を少しでも多くの方に知ってもらい本物の味を味わってもらいたいと願っております。
この記事を書いているのは、金沢市・近江町市場の一角に店を構える、1958年創業の業務用食品卸会社「株式会社松本」の松本信之です。
当社では、全国でも希少となった選りすぐりの食材を仕入れ、あるいは独自に加工し、全国のホテルや料亭などの飲食業界・フードサービス業の皆様へお届けしています。
■ 私たちの仕事は、食材に“新しい価値”を吹き込むことです
料亭で供される一皿の料理。その一皿の背後には、実に多くの人の手と想いが込められています。
株式会社松本は、そうした日本の繊細な味、美しい料理を支える「食の裏方」でありながら、単なる卸売業ではありません。
私たちは、料理長とともに悩み、考え、試作を重ねながら、食材そのものの提案や新商品開発を行っています。ときには生産現場に足を運び、農家・漁師・海女さんなどの一次生産者や、食品加工業者と連携し、一貫した食材ストーリーを形にします。
「卸売業でありながら、商品企画・開発まで行う」。
気がつけば、私たちは“ファブレス企業”となっていました。
※ファブレス=“ファブ”(工場)+“レス”(ない)。つまり、自社で工場を持たない製造開発型企業のこと。
■「金沢を世界一の美食のまちに」
私たちが目指すのは、ただの商いではありません。
食の魅力を通して、金沢というまちそのものに新しい価値を創造することです。
スペインの小都市・サン・セバスチャンは、人口18万人ながら、わずか10年で星付きレストランが立ち並ぶ“世界一の美食のまち”へと進化を遂げました。いまや世界中からグルメを求めて人々が訪れています。
この「地方都市の成功モデル」を、私たちは金沢にも実現したいのです。
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