
灰干しワカメは、灰を落としし、糸状に乾燥させたものです。「鳴門糸ワカメ」と言われています。
料理の世界においては食材一つひとつにその歴史があり、その加工法にはそれぞれに深い意味が存在します。
特に日本が誇る海藻の一つであるワカメは、古来から多様な方法で私たちの食生活を豊かにしてきました。
前回、瀬戸内の鳴門地方に伝わる「灰ワカメ」と「灰干しワカメ」の違いを比較しましたが、このワカメの世界を探り、これらの素晴らしい食材が料理人にどのようなインスピレーションを与えてくれるのかをご紹介します。
*尚、灰干しワカメは、調理師の間では「鳴門糸ワカメ」と呼ばれています。
灰ワカメの製造方法
灰ワカメと灰干しワカメ(鳴門糸わかめ)は、共にワカメを加工する方法ですが、製造工程に違いがあります。
灰ワカメの製造においては、ワカメを収穫した後、海藻の表面に灰をまぶし、乾燥させるプロセスが行われます。この灰は、昔から伝わる方法で、ワカメに含まれるアクを取り除き、保存性を高めるために用いられていました。
現代では食品衛生の観点から、木灰などを直接使用することは少なくなっています。代わりに、食品安全基準に適合した食品添加物として認可されているアルカリ性物質(活性炭)を使用することが一般的です。灰ワカメはその特有の風味と食感で知られており、独特の風味を活かした料理に用いられます。
灰干しワカメ(鳴門糸ワカメ)の製造方法
灰干しワカメ(鳴門糸わかめ)の場合、ワカメは一旦灰をまぶしてアク抜きを行った後、天日で干されます。その後、灰を洗い流して再度乾燥させることで製品化されます。この追加の洗浄プロセスにより、ワカメに独特の風味を与え、食感を良くする効果があります。
灰干しワカメ(鳴門糸わかめ)は灰ワカメよりも穏やかな風味になりますが、それでも灰を用いることで独特の風味が残ります。そのため灰干しワカメ(鳴門糸わかめ)は、和食だけでなく、様々な料理に使用されています。

この「鳴門わかめ」を水で戻して使用します。
どちらの製法も、ワカメの持つ栄養を保存し、風味を高める伝統的な方法です。プロの料理人は、これらの違いを理解し、料理の種類や求める風味に応じて適切なワカメを選択することができます。
現代では、食品衛生の面から木灰などを直接使うことは避けられ、代わりに食品添加物として認可されたアルカリ性物質(活性炭)を使用することが一般的です。これは、ワカメの風味や食感を良くすると同時に、消費者の安全を確保するためです。
プロの調理師やシェフの皆さんにおかれましては、、このような鳴門の灰ワカメと灰干しワカメ(鳴門糸わかめ)の貴重な歴史や製造方法、現在の安全基準に基づいた工夫を知ることで、料理に対する新たな理解と尊敬が生まれ、更なる創造性を発揮することができるでしょう。
そして、これらの知識を伝えることで、これらの伝統的な食材が持つ文化的な価値を守り、次の世代に食文化を継承し繋げていくことが私たちの責任です。
プロの調理師としての選択
プロの調理師やシェフにとって、これらのワカメはただの食材ではありません。
それぞれに独自の特性を持ち、料理に深みと歴史をもたらします。

鳴門糸ワカメの中から、目視で異物を取る細かい作業です。
灰ワカメは日常の様々な料理に活用することができ、その独特の風味が和食の繊細な味わいを引き立てます。
一方で灰干しワカメ(鳴門糸わかめ)は、特別な日の食卓やお祝い事に相応しい、豊かな風味と存在感を料理に加えることができます。
料理への応用
灰ワカメを用いたお吸い物は、その風味の深さで季節の変わり目を感じさせる一品になります。
また、灰干しワカメを再水で戻して用いることで、サラダや酢の物においては、海のミネラルを感じる味わい深い一品として提供できます。
食材の知識を次の世代に伝えていく
私たち料理に携わる者にとって、これらの伝統的な食材を用いることは、単にメニューに一品加えるということではなく、その食材が持つ文化や歴史を、お客様に伝える責務も担っています。
特に、なくなる可能性がある貴重な食材や技術に関しては、その知識を共有し、後世に伝えていくことが私たちの役割です。
灰ワカメや灰干しワカメ(鳴門糸わかめ)といった特別な食材を通じて、私たちは食の真髄を追求し、料理を通じて日本の豊かな食文化を広めていくことができます。
これからも、これらの食材を大切にし、それぞれの特性を活かした料理を創り出すことで、お客様に感動を与え続けることができるでしょう。
灰ワカメと灰干しワカメ(鳴門糸わかめ)は、その製法だけでなく、私たちが大切にすべき文化的遺産でもあります。
これらの食材を料理に用いる際には、その由来と製法の違いを心に留め、それぞれの食材が持つ最大の魅力を引き出すよう努めましょう。そうすることで、私たちの料理は、単なる食事を超えた、食文化を伝えるストーリーを持つことになるのです。

株式会社 松本
https://matumoto.co.jp/
株式会社松本は、食文化と歴史を少しでも多くの方に知ってもらい本物の味を味わってもらいたいと願っております。
この記事を書いているのは、金沢市・近江町市場の一角に店を構える、1958年創業の業務用食品卸会社「株式会社松本」の松本信之です。
当社では、全国でも希少となった選りすぐりの食材を仕入れ、あるいは独自に加工し、全国のホテルや料亭などの飲食業界・フードサービス業の皆様へお届けしています。
■ 私たちの仕事は、食材に“新しい価値”を吹き込むことです
料亭で供される一皿の料理。その一皿の背後には、実に多くの人の手と想いが込められています。
株式会社松本は、そうした日本の繊細な味、美しい料理を支える「食の裏方」でありながら、単なる卸売業ではありません。
私たちは、料理長とともに悩み、考え、試作を重ねながら、食材そのものの提案や新商品開発を行っています。ときには生産現場に足を運び、農家・漁師・海女さんなどの一次生産者や、食品加工業者と連携し、一貫した食材ストーリーを形にします。
「卸売業でありながら、商品企画・開発まで行う」。
気がつけば、私たちは“ファブレス企業”となっていました。
※ファブレス=“ファブ”(工場)+“レス”(ない)。つまり、自社で工場を持たない製造開発型企業のこと。
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