
毎年11月15日が鴨猟の解禁となります。
毎年11月15日、北海道を除く日本各地で鴨猟のシーズンが幕を開けます。この時期、猟師たちは野生の鴨(マガモ)を捕獲するために猟銃を手にします。

散弾銃での鴨猟です。
日本の鴨猟の伝統は深く、調理師やシェフにとってこの知識は非常に貴重です。特に石川県の「坂網猟」や全国に広がる「無双網猟」のような地域特有の狩猟法は、鴨肉の肉質に特有の特徴を与え、独自の料理技術を要求します。

石川の伝統猟法・坂網量
本プロジェクトは、プロの調理師やシェフが新たな知識とインスピレーションを得られるように、これらの狩猟法の特性とその鴨肉の特徴を紹介します。
そして限られた数しか捕獲できない加賀の坂網猟の鴨に代わって、品質も良く安定的に供給できる福井県の無双網での本鴨を胃の内容物をカラにする2日間の絶食ののち、窒素法(エトフェ)での処理にてお届けするプロジェクトです。
。この新たなアプローチが、料理に深みと新しい味わいをもたらすに違いありません。
まずは狩猟方について再確認いたしましょう。
鴨猟のいろいろとその肉質
飛ぶ鴨を撃ち落とす、散弾銃の鴨肉
主に飛翔中の鴨を狙う散弾銃は、野鴨の強い警戒心を考慮し、獲物に気づかれないように一発でバイタルゾーン(致命傷に至りやすい、脳や首など)を狙い撃つ猟師の技術を必要とします。
特徴 : 被弾によるストレスや筋肉の緊張でアドレナリンが放出され野性味が強くなり、肉質はしっかりとし、弾力があると感じられます。
利用法 : この種の鴨肉は、強い風味が求められる料理に適しています。例えば、しっかりとした味付けの煮込み料理などが良いでしょう。

池に落ちた鴨は犬のヘルプがあります
問題点 :しばしば猟銃で撃たれた鴨は肉質が硬くなりがちで、散弾が胸肉やモモ肉に残ることがあります。これにより、肉の一部が料理に不適切になり、この損傷部分を避ける技術が求められます。
自然と対峙し、五感を研がす、坂網猟の鴨肉
石川県加賀市の坂網猟は、その独特な猟法で知られています。片野鴨池から山沿いの鴨の通り道に猟師が陣取り、鴨がエサ場の水田に行く際の一瞬を狙い鴨に向かって空中にY字型の網を投げて鴨を捕獲する技術です。夕暮れ時、鴨が池から一斉に飛び立つ30分、あるいは15分だけが猟の時間です。
特徴 : 捕らえた鴨の内臓には残留物がほとんどなく、捕獲後も数日間は内臓まで新鮮さが保たれ臭みがありません。
利用法 : 坂網猟の鴨は、狩猟の際の恐怖や緊張が少ないため、肉質が柔らかく、滑らかで淡泊な風味を持っています。この繊細な肉質は、低温調理や短時間の調理法によって最大限に活かされます。

一日で30分が猟の時間となります
問題点 :現在、坂網猟の猟師はわずか30人ほど、年間捕れる鴨はせいぜい200羽。その行先は加賀市の料亭で、もし余分が出ても加賀市の斡旋により出荷先が決まっており、新規に出回ることはありません。これは、高品質な鴨肉を求めるシェフにとって大きな課題となっています。
一網打尽に鴨を捕る、無双網猟
江戸時代に始まった無双網猟は、水田や池に網を張り、鴨を生け捕りにする方法です。猟場には「呼び鴨」と呼ばれる鴨を20~30羽放ち、餌をまいて鴨を誘います。猟師たちは見張り小屋に潜み、深夜から未明にかけて鴨が呼び鴨につられてくるのを待ちます。
鴨が網の中に群がるのを見計らって、隠れた場所から仕掛けを引くと、網が被り、鴨を一網打尽で捕獲します。
特徴 : この方法では、鴨が気づかないうちに捕獲される方法で、最もストレスを与えません。また鴨が生け捕りにされた後に素早く処理されるため、血液などが肉質や風味に与える影響を低減できます。そのため鴨肉の質を保ちながら効率的に捕獲することが可能で鴨肉は傷みが少なく、風味も良好です。

鴨に最もストレスがかからない猟法です
利用法 : 無双網猟の鴨肉は、非常に柔らかく、深い風味を持っているため、繊細な味の料理や素材の味を生かしたシンプルな料理に最適です。スパイスや調味料の使用は控えめにして低温でゆっくりと料理することが推奨されています。
まとめ
散弾銃、坂網猟、無双網猟で捕獲された鴨肉は、それぞれに特有の味わいと肉質があります。猟銃で捕獲された鴨は、野性味溢れる風味が特徴ですが、坂網猟や無双網猟で捕獲された鴨は、より繊細な肉質と深い風味が楽しめます。
猟法 | ストレス | 脂肪分 | 旨味 | 味 | 肉質 |
猟銃 | 大きい | 多い | 強い | 野性味 | しつかり |
坂網 | 少ない | 少ない | 強い | あつさり | やや柔らかい |
無双網 | 最も少ない | 少ない | 凝縮 | よりあつさり | 非常に柔らかい |
これらの違いを理解し、それぞれの特性に合わせた調理法を駆使することで、プロの調理士、シェフのみなさんはお客様に特別な食体験を提供することができます。例えば、猟銃で捕獲された本鴨は、煮込み料理やスモークなどにも適しています。坂網猟や無双網で捕獲された鴨は、ローストやソテーなど、素材の味を生かす調理法もむいています。
それぞれの猟法で味の違いが出てくるわけですが、私たちは猟銃よりも坂網の方が、そして坂網よりは無双網の方が本来の鴨の味を引き出すことが出来ると確信しています。

水辺に漂う鴨
世界には野生の鴨に比べ一歩劣るといわれる飼育されている鴨でありながら、世界一と言われている鴨があります。
ならば無双網で捕獲した野生の鴨に、その技術を加えればもっと素晴らしいことが起きるのではないか。私達はそう考えました。
味に革命を起こしたシャラン鴨(窒息鴨)
世界中のシェフ達から最も高い評価を受けている鴨がシャラン鴨です。一般的な鴨と違い、血液を蓄えたまま処理するエトフェ(窒息法)という手法で生産されているため柔らかさ・風味・脂の香り・コク全てにおいて上質です
日本で「シャラン鴨」がもてはやされているのは、パリのど真ん中にある3つ星レストラン「トゥール・ダルジャン」の骨から搾り取った「血のソース」の番号を付けた鴨料理で、その食材がシャラン鴨だったのが原因です。
*窒息法による影響:窒素ガスを使用して鴨を窒息させる方法です。
赤みが濃い肉質: 窒息法による屠殺は、血液が肉に残るため、肉の赤みが濃くなります。これは肉の色合いに影響を与え、一般的にはより濃い赤色を示します。
肉の柔らかさ: 血液が体内に残ることで、肉はより柔らかくジューシーになる可能性があります。これは血液中の水分が肉の中に留まるためです。
無双網と窒素法:鴨料理の新たな地平
トゥール・ダルジャンは新しい調理法への挑戦として窒素法による鴨肉の処理方法を取り入れています。
血液を体内に保持するこの方法で肉の赤みが強調され、柔らかくジューシーな質感が生み出されるからです。

野趣あふれる鴨料理
この成功例に倣い、無双網で捕獲された鴨に窒素法を適用することは、散弾銃による欠点と坂網猟の問題を解決する新しいアプローチです。この技術によって得られる鴨肉は、肉質がより柔らかく、風味が豊かになります。また、トゥール・ダルジャンで使用される窒息法による鴨肉の例からも、この方法の有効性が示唆されています。
高温でのローストやソテーはもちろん、低温でじっくりと調理することで、その独特の風味を最大限に引き出すことができます。
この新しい技術は、伝統的な日本料理だけでなく、西洋料理にも革新的な風味をもたらし、新しい創造の機会を提供し、料理の世界に新たな次元を加えることでしょう。
この文章では、鴨猟の各方法の欠点と、無双網猟と窒素法の組み合わせによる新たな可能性を強調し、プロのシェフたちに新しい料理のインスピレーションを提供することを目指しています。

株式会社 松本
https://matumoto.co.jp/
株式会社松本は、食文化と歴史を少しでも多くの方に知ってもらい本物の味を味わってもらいたいと願っております。
この記事を書いているのは、金沢市・近江町市場の一角に店を構える、1958年創業の業務用食品卸会社「株式会社松本」の松本信之です。
当社では、全国でも希少となった選りすぐりの食材を仕入れ、あるいは独自に加工し、全国のホテルや料亭などの飲食業界・フードサービス業の皆様へお届けしています。
■ 私たちの仕事は、食材に“新しい価値”を吹き込むことです
料亭で供される一皿の料理。その一皿の背後には、実に多くの人の手と想いが込められています。
株式会社松本は、そうした日本の繊細な味、美しい料理を支える「食の裏方」でありながら、単なる卸売業ではありません。
私たちは、料理長とともに悩み、考え、試作を重ねながら、食材そのものの提案や新商品開発を行っています。ときには生産現場に足を運び、農家・漁師・海女さんなどの一次生産者や、食品加工業者と連携し、一貫した食材ストーリーを形にします。
「卸売業でありながら、商品企画・開発まで行う」。
気がつけば、私たちは“ファブレス企業”となっていました。
※ファブレス=“ファブ”(工場)+“レス”(ない)。つまり、自社で工場を持たない製造開発型企業のこと。
■「金沢を世界一の美食のまちに」
私たちが目指すのは、ただの商いではありません。
食の魅力を通して、金沢というまちそのものに新しい価値を創造することです。
スペインの小都市・サン・セバスチャンは、人口18万人ながら、わずか10年で星付きレストランが立ち並ぶ“世界一の美食のまち”へと進化を遂げました。いまや世界中からグルメを求めて人々が訪れています。
この「地方都市の成功モデル」を、私たちは金沢にも実現したいのです。
一緒に、新しい味、新しい価値を生み出し、金沢を世界の美食都市へと育てていきませんか?
■ お取引先の一例
嵐山吉兆様、強羅花壇様をはじめとする全国の一流料亭・レストランに加え、
地元・金沢でも、ミシュランガイドで星を獲得されているお店の多くに、長年ご愛顧いただいております。
たとえば、つば甚様、銭屋様、浅田屋様、料理小松様、エンソ様など――
“金沢の味”を支える料理人の皆様と、共に歩んでまいりました。
代表取締役 松本信之
農林水産省認定 6次産業化プランナー
フードアナリスト NO.25042013
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