
株式会社松本では、生産者や収穫者と直接コミュニケーションをとり、安心・安全で質の高い食材の確保を行っております。
~ 松本社長の食材の旅 ~
シリーズの8回目は、沖縄の生マグロ「沖縄美ら海まぐろ」です。
2019年10月1日(火)から沖縄・那覇市にある泊(とまり)漁港にマグロのセリの様子を近江町市場の魚屋の有志のみなさんとともに視察に行ってきました。

赤い魚は高級魚のオナガ(はまだい)

ブダイなど色とりどりの魚
沖縄といえばアオブタイやミーバイ、オナガなどの青色や赤色の色とりどりの魚を一番に思いつきます。沖縄の県魚も色鮮やかなグルクンなのですが、那覇市の魚といえば実は「マグロ」なのです!

水揚げのほとんどがマグロ
沖縄のマグロ漁獲量は全国3位。
マグロは、県内の漁獲量の50%以上を占める沖縄で最も多く漁獲される魚なのです。そしてここ那覇市の泊漁港で水揚げされるものの約70%はマグロなんです。
沖縄では「生マグロ」が常識です
沖縄で水揚げされるマグロは、本マグロ(黒まぐろ)、メバチマグロ・キハダマグロ、ビンナガマグロの4種類で、その特徴は全国的に流通している「冷凍マグロ」ではなく「生マグロ」なのです。

横を歩いているのは私です。
漁場が沖縄周辺から沖縄から比較的近い南シナ海といった地理的環境もあって、時間をかけずに那覇の泊漁港に「生」の状態で水揚げできることから、他府県のマグロに比べ鮮度が高いのが特徴の一つです。

品質を見極める
一本釣りのマグロ魚船では、獲れたてをすぐに神経〆をしてエラ、内臓を除去し氷水に塩を加え、マイナス1℃のチルド状態で港まで運ばれてくるのです。
沖縄のマグロ漁は一本釣りと延縄漁でおこなわれ、そ一本釣りの様子とセリの様子は YouTube (リンクしてありますのでご覧ください)に詳しくアップされています。
特にキハダマグロは一時期を除き一年を通して水揚げが可能で、ここ泊漁港から一本まるのままの状態で、あるいは隣に作られた「沖縄鮮魚卸流通協同組合 泊いゆまち」で冊取りされた形で東京をはじめ全国に発送されています。特に11月末から2月初めが一番よく脂ののっている時期だそうです。

セリ場にて
今回のセリ場の案内をしていただいたのは泊セリ市場にある大手の仲卸の沖縄中央魚類㈱の課長・佐野勝雄 氏です。ありがとうございました。

セリの様子
ここのセリの特徴は一発セリなんです。仲買の人たちがそれぞれ小さな黒板を持っていて、そこにチョークで買いたい値段を書いていくのです。

値段を小さな黒板に書いています。
価格を徐々に上げていくのではなく、 「あっ!」という合図とともに(勢いがありすぎて、本当は何と言っているのかは不明です)、値段を書いた黒板を高々と掲げ、その時にその黒板からパタンパタント大きな音が鳴るようになっています。
その中で提示価格の高い人が一発で落札するという「一発セリ」です。 我々には、本当にその人が一番高かったのか分からない緊張の瞬間勝負なのです。
マグロの美味しさの秘密
まだ明けやらぬ朝4時に私たちを乗せたタクシーは泊漁港にやってきたのです。

船からマグロが水揚げされる
私たちはセリの始まる前のセリ場に、船から次から次へと運ばれ並べられるマグロに圧倒されました。

マグロを自分の店へ運びます
本マグロ(黒まぐろ)、メバチマグロもあり、過半がキハダマグロとはいえ大きなものは80Kを超える大物もありました。
多い時は一日に100トンを超えるマグロがここで競られるそうです。

今日の入港の予定
もともとマグロは熟成に時間のかかる魚で築地や金沢で競られたマグロもセリから2~3日間冷蔵庫に寝かしてから、ものによっては1週間たってから使い始めることもあります。
近海でとれた本マグロでも中型サイズのものは、1日~2日寝かせば食べ頃ですが、逆に大型サイズの良質なモノは10~14日間ぐらいは保持できるので、その期間内で色々な味わい方をします。特に顕著なのは鮨屋さんですね。
そこに大型の近海本マグロの魅力があり、重宝されて高価で取引される理由なのです。
マグロの美味さは、香り、酸味、甘味といわれています。香りと酸味は新鮮さの証ですが、甘味は熟成にしたがって出てくるものです。
まず最初は、すっきり、さっぱりとした「鮮度抜群のサクサク感」を楽しんでください。
2~3日後は、なめらかでしっとりとした舌触りに加えて、増した旨味が感じられます。
特に縮れた(若い)赤身は新鮮なマグロ香りがし、「ヅケ」にすると一段と美味くなります。
* づけ : 江戸時代にすし屋で考案された加工法で、現在では醤油に一割程度の酒とミリンを加え、昆布と一緒に沸かしたものを冷ましておいた漬け液に短時間漬け込みます。正確には漬けるというより短時間の浸ける状態です。適度に醤油を吸った鮪の赤身は独特の旨みがでてきます。
そして熟成が進むとますます旨みがでてきます。
トロの場合は脂でエイジング(熟成)され芳醇な旨味や甘味を引き出すことが出来ます。
『すきやばし次郎 旬を握る』(文春文庫)では、
「買ってきたマグロが若ければ、何日か氷漬けにして熟成を待たなければなりません。・・・(中略)・・・味と香りがピークに達するのは、熟成が進んで、はつらつとした身の赤さが少しクスみ加減になる頃で、特に大トロや中トロはそうです。」と書かれています。
何故マグロは寝かせないと美味しくないかというと、
マグロの中にある「イノシン酸」という成分があると、人間は美味しく感じます。
しかしこのイノシン酸は、マグロを〆た直後には全く生成されておらず、代わりにアデノシン三リン酸という別の成分の状態になっています。
このアデノシン三リン酸は時間が経過すると、徐々にイノシン酸に変化していくため、マグロのうまみ成分であるイノシン酸が、時間が経過しないと生成されてこない為、マグロを扱う調理師たちは熟成させているのです。
沖縄のマグロ、その味は、
そのキハダマグロの味はというと、やはりクロマグロに比べれは味の濃さが劣り、やや水っぽいというのが本音のところでしょう。
キハダはキハダという事ですが、その分値段もこなれていて、もしろ異常に高価な本マグロより沖縄の生のマグロとしてアピールして全国に普及させるには絶好の食材だと思います。
本マグロには本マグロの特徴があり、キハダにはキハダの特徴があります。

まぐろを食べましょうとのキャンペーン
「クロマグロ(本まぐろ)」
最高級のマグロ。マグロの王様。
でも値段も王様。身も脂も別格!程よい酸味とたっぷりの旨味が特徴です。
赤身は鮮やかな赤色で、お刺身やお寿司にぴったりです。さらに、大トロが多いのも人気の秘密です。
トロの部分は脂がたっぷりとのり、甘みもあります。高級和牛のようにサシが入ったピンク色のトロが舌の上でトロッととろけます。
特に、秋から冬に獲れる脂ののったクロマグロはこれ以上ない旨さです!
天然ものは、魚の状態が良ければ熟成させることもできます。熟成すると、柔らかな食感になり、旨味や味わいがぐっと濃くなります。

琉球新報社HPより
しかし絶滅危惧種のクロマグロは、いまは沖縄近海でのクロマグロの水揚げとその流通販売を禁止する「採捕停止命令」(2019年5月18日)が出ているので遠い将来はともかく、ここしばらくはキハダマグロを中心として「沖縄美ら海まぐろ」として販売されることと思います。

沖縄県水産課の資料から
「キハダマグロ」
キハダマグロは薄いピンク色で脂肪分が少なく、あっさりとした味わいが魅力のマグロです。
脂が少ないのでトロはとれませんが、上品でクセのない赤身を楽しむことができます!
お刺身はもちろん、ヅケやステーキにしても美味しいです。また、色変りが遅いのも魅力のひとつ。
11月末から2月初旬に水揚げされるキハダは品の良い脂、身のねっとり感ともに満点です!
「沖縄美ら海まぐろ」のブランド化
沖縄では、2012年から県産マグロのブランド化に取り組くで、仲買人が鮮度やつや、脂の乗りなどを見極めた良質のマグロを「沖縄美ら海まぐろ」として選定し、ザ・リッツ・カールトン沖縄などのホテルで「沖縄美ら海まぐろフェア」を行ったり、ロゴマークをつけて県内のスーパーなどで販売しています。

沖縄マグロのブランド化
ブランド基準では、
① 沖縄近海や南方を漁場とし延縄やパヤオでの一本釣りなどによる天然まぐろ
② マグロ漁船で手早く丁寧に処理し、高鮮度保存されたまぐろ
③ 泊魚市場に上場され、仲買人による「鮮度」「色」「艶・張り」「脂のり」の目利き
④生産者又は廻船問屋が自らの責任と誇りを持って選んだマグロであること
と、決められています。
それにしても能登沖では時折、マグロが何百匹と獲れることがありますが、金沢には大量のマグロ処理施設がないため残念なことに鳥取県の境港まで持ち込み、境港水揚げと名前を打って販売されているのに比べれば、それだけの処理施設があるのは非常に羨ましいことです。

株式会社 松本
https://matumoto.co.jp/
株式会社松本は、食文化と歴史を少しでも多くの方に知ってもらい本物の味を味わってもらいたいと願っております。
この記事を書いているのは、金沢市・近江町市場の一角に店を構える、1958年創業の業務用食品卸会社「株式会社松本」の松本信之です。
当社では、全国でも希少となった選りすぐりの食材を仕入れ、あるいは独自に加工し、全国のホテルや料亭などの飲食業界・フードサービス業の皆様へお届けしています。
■ 私たちの仕事は、食材に“新しい価値”を吹き込むことです
料亭で供される一皿の料理。その一皿の背後には、実に多くの人の手と想いが込められています。
株式会社松本は、そうした日本の繊細な味、美しい料理を支える「食の裏方」でありながら、単なる卸売業ではありません。
私たちは、料理長とともに悩み、考え、試作を重ねながら、食材そのものの提案や新商品開発を行っています。ときには生産現場に足を運び、農家・漁師・海女さんなどの一次生産者や、食品加工業者と連携し、一貫した食材ストーリーを形にします。
「卸売業でありながら、商品企画・開発まで行う」。
気がつけば、私たちは“ファブレス企業”となっていました。
※ファブレス=“ファブ”(工場)+“レス”(ない)。つまり、自社で工場を持たない製造開発型企業のこと。
■「金沢を世界一の美食のまちに」
私たちが目指すのは、ただの商いではありません。
食の魅力を通して、金沢というまちそのものに新しい価値を創造することです。
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この「地方都市の成功モデル」を、私たちは金沢にも実現したいのです。
一緒に、新しい味、新しい価値を生み出し、金沢を世界の美食都市へと育てていきませんか?
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たとえば、つば甚様、銭屋様、浅田屋様、料理小松様、エンソ様など――
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代表取締役 松本信之
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