農家プロジェクトは、石川県内の農家と当社が深くつながり、そして農家と当社のお客様をつなごうというものです。
こんにちは。「未来を見つめる農家プロジェクト」の推進役を任されている、インターン生・金沢大学3年の浜本彩佳(はまもと あやか)です。
~ 農家プロジェクト:農家へのフィードバック ~
シリーズの 2回目は、トマトの「菊理農園」です。
2部構成でお届けします。
前半は、ヒアリングで伺った農家さんの情報をお伝えします。
後半は、松本が農家さんに対して、すぐにでもできるアドバンテージをお知らせいたします。
記念すべき初めての農家訪問は、トマトを中心に作っている「菊理農園」さんへお伺いしてきました。
■ ヒアリングを通して学んだ菊理農園さん紹介
金沢と富山の間の山間部を上り下りし、もう少しで頂上だというところを入り奥に進むと、目指すビニールハウスが見えてきました。
ちょっと「天空のラピュタ」を想像させる雲の上に(すいません。比喩すぎました)、ビニールハウスがありました。
ハウスの中に入ると二度ビックリです。
無農薬、無化学肥料栽培のトマトとは聞いていました。
「もう収穫も最後だから中はクチャクチャだよ」と言われましたが、土の中には多くの生き物が住んでいて、なにかホッとするような感じになりました。
ハウスの外にも落ち葉や枯草・下草が多く積み重なっていて、これらが有機肥料へとなっていくそうです。作物を育てるという事は、土の微生物を活性化させることが一番大切だと教えていただきました。
だから他の農家さんも、無農薬、無化学肥料栽培の勉強をしに、畑にやってくるそうです。
ちなみに、年明けからは冬の間は、オーストラリアへサーフィンを楽しみに行くのだそうです。うらやましかったです。伺ったのは秋だったのですが、日焼けしたステキな農家さんでした。
■ ミシュランの星付のシェフに食べてもらいました。
ここのトマトは色が違います。(ここを私は強く言いたいのです。)
普通は、市場に流通させるためにはかなり青い(緑色)の状態で収穫して、流通に伴い日数が経つことで赤くさせていると聞いています。
これを追熟というらしいのですが、根、葉からの栄養がない状態で熟すことで、本来の美味しさなんてあるのかな、と私は常々疑問に思っていました。
ここでは、真っ赤になってから出荷しているそうです。
だからスーパーにある追熟の赤色と、ここの完熟させた赤色が違います。
赤というより「紅(くれない)色」なのです!
このミディトマトを食べてみると「あまい~!」「おいしい~!」
まるでフルーツです。私が食べた中で一番美味しいトマトでした。
トマトには皮はあるんですけど、いつも感じる皮の存在がないのです。歯に、舌に、直接トマトの果肉を感じます。皮というより果肉がはじけて口の中に飛び込んでくる感じなのです。
自分の表現力のなさが情けないです。つまり、「たった一粒のトマトが私の心を満たしてくれて、しあわせな気分にしてくれるのです。」
社長もこのトマトの美味しさには驚きを隠せなかったようです。
というのも農家さんのところでインタビューを終えて、17時も過ぎて暗くなってきているのに、何もしゃべらずにどこかへ車を走らせました。
実は社長は一刻も早く、知り合いのシェフに食べてほしかったそうなのです。
ついたのは石川県庁のそばにある人気のブライダルのレストラン「フラワーガーデン」でした。
洋食のシェフに何も言わずに「食べてみんか!」(金沢弁) と。
シェフの吉田さんは口に入れた瞬間、「すごい!美味い!皮が薄い!」と大絶賛!
社長が「シェフなら、何の料理に使いたい?」と尋ねたところ、
シェフが「この味なら前菜に使いたい!」
すかさず社長が「それなら量が出ないから、ダメ!」
ふたりで大爆笑です。
社長曰く、サラダではなく前菜に使うということは、最高に美味しいという証だそうです。
実際に松本のネットワークを生かして料理人の方たちに感想を聞いていただけるとは、松本ならではなことと感じました。
■ 今後の松本と農家のつながりとは?
次の日には、いただいたミディ・トマトを近江町の店に仕入れに来られたお客さんにも試食してもらいました。
みんな「美味しい。おいしい!」って、「いつから売るの~?」と大満足で興味津々でした。
試食してもらったのはレストランガイドのミシュランで星をもらっている和食のオーナーシェフの皆さんです。
でも社長は、販売に関してはあまり口を開きませんでした。
それには、問題点があるそうです。例えば、
・この品質が通年維持できるのなら、通年の需要はあるが、維持できるのか?
・問題点はロジスティクス。わざわざ農場まで引き取りに行っての販売は、採算割れになってしまい考えられない。
・一人に対してトマト半ケ程度では、トマトだけで物流費がゼロだとしても採算が合わないのではないか。
・レストランや近くの販売所への配達はしているようだが、上記の使用量で農家自身の採算分岐点が超えられるかが疑問点。
・野菜の中の逸品として八百屋が販売するのには、他店との差別化としては実に有効な方法。
このような情報を農家さんと料理人に伝えて共有できるからこそ、松本と料理人との親密度が上がっていくんだろうなと実感しました。
そして松本のネットワークを生かして、料理人の方にも感想をいただき、それを農家の方にフィードバックできれば、より農家プロジェクトを進めていくということになると感じました。