「四季の味」2004年 秋号 古都金沢に残る日本の心 で紹介

古都金沢に残る日本のこころ で紹介されました。

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世の中には,とにかくおいしいものを食べていれば幸せという食いしん坊がいます。
「四季の味」 は,そいういう食いしん坊のための雑誌です。

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料理評論家・濱野昌子さんのエッセイです。

百貨店やスーパーでは,居ながらにして全国の食品を手に入れることができます。テレビでは毎日,何かしらの料理番組を見ることができます。情報に恵まれているのは,確かに幸せなことではありますが,一方で何を選んでいいのか迷ってしまいます。たくさんの情報の中から,自分の目や舌で自分の好みのものを選ぶ,それが食いしん坊の食いしん坊たる所以でしょう。「四季の味」はそんな食いしん坊のためのバイブルです。

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抜粋をご紹介いたします。

思い出の料理ノートから、古都金沢に残る日本の心

江戸時代、加賀百万石の城下町として栄えた金沢は、江戸、大阪、京都に次ぐ町だった。<br>
独特の文化が育まれ、今も大切に受け継がれている。このような風土は食文化を充実させるものだが金沢も例外ではない。

金沢の台所として名高い、近江町市場の前にあるのが、かの料亭旅館 「浅田屋」。創業慶応三年という歴史を誇る。
町なかとは思えない閑静な佇まいで、かつて旅人が感じたであろう旅情や安らぎを、今なお味わうことができる数少ない旅館だ。・・・・・・

女将のおすすめの土産は、

河豚の糠漬けという伝統食品

近江町市場は、通りを隔てて「浅田屋」の真ん前。市場と聞いては見過ごすわけにはいかない。世界中どこへ行こうと、旅の醍醐味は市場にこそある。

朝食後、早速出かけた。後を追って来てくれたのは「浅田屋」の女将。きりっとした着物姿で、不慣れな我々を干物や鮮魚、野菜の店へ案内してくれた。
女将のおすすめは 「松本」(℡ 076-232-2355)の ”ふぐの糠漬”。
これは、六月すぎにとれた河豚を三枚におろして塩を振り、天日干しして糠に漬けたもので、出来上がるまで二年もかかる。石川県に伝わる伝統食品だが、知る人ぞ知る珍味。

コチコチになった身の糠を落とし、包丁で向こうが透けるくらいに薄く削ぐのが、おいしく食べるコツだそうだ。よく切れる包丁を使うのはもちろんだが、それでもかなり難しそう・・・・・。
すると「板さんに頼んで切ってもらって、袋に詰めておきましょう」という女将の申し出。
恐縮して遠慮する我われを尻目に、全員の買い物袋をぜんぶ引き取り・・・・・・・・(後は本誌をご覧下さい)