べにずわいがに

食材の旅・鳥取県の紅ズワイガニ

食材の旅・境港の夜明け編

日本一のカニの港

株式会社松本では、生産者や収穫者と直接コミュニケーションをとり、安心・安全で質の高い食材の確保を行っております。

~ 松本社長の食材の旅 ~

 シリーズの6回目は、冬の食材としてはずせない かに の物語です。

隠岐の島の ばい貝に続いての研修は、翌々日の10月20日早朝から鳥取県・境港での見学と、JFしまね 常務理事の 福本匡弥さんを交えたディスカッションです。

この市場は鳥取県にありながら、島根県の県都・松江市に近く、入船する船も島根県の船が多く、必然的に水揚げも島根県が多いため島根県が管轄している市場です。

 ■ 『スタバ』はないけれど『すなば』がある!!

 鳥取県のイメージを全国で調べても 「砂丘」、「二十世紀梨」、「カニ」、この3つがキーワードで、最近ではスターバックスがらみで 『スタバ』 はないけれど 『すなば』 がある!!が話題になったのが目新しい話ですね。

自撮り

自撮り

フェリーの到着した境港市といえば、漫画家・水木しげる氏のふるさとです。ここは、すっかり境港の顔になった 「水木しげるロード」 があり、漫画に登場する妖怪たちがブロンズ像になって出没し、若い女性たちの撮影スポットとなっています。

しかし私らフードビジネスにかかわる身にとっては境港といえば 「かに」ですよね。

■ 日本一の水産加工エリアが境港です

境港の平成 24 年の水産物取扱量は重量 114,258t(全国6位)、金額 16,262 百万円(全国 11 位)で全国でも有数な港です。

境港水揚げ推移

境港市場

境港市場

 そのなかでも紅ズワイガニとズワイガニを合わせた 「カニの水揚げ日本一」 を誇っており、全国の約半数の紅ズワイガニが境港で水揚げされ、紅ズワイガニの加工では全国の8割のシェアを持っています。

我々が訪れた時は、11月6日のズワイガニの解禁にはまだ早かったですが、紅ズワイはカニかご漁で行われていました。 

 紅ズワイカニは身は甘みがあり、水分の多いカニです。そのため保存中に水分が抜けて身が少なくなることを避けるため、甲羅を下にして漁場から港に運ばれてきます。

境港の紅ズワイガニはそのままボイルや冷凍されて出荷されるほか、加工用の原料として冷凍のカニクリームコロッケやカニちらし寿司などカニ肉を使用する食品の多くに、境港の紅ズワイガニが用いられ、その食品工場の数は日本一で、当社の取引先の工場もこの周辺にまとまってあります。 

セリの様子

セリの様子

 また、紅ずわいの加工だけではなく全国でも有数の水産加工地であり、原料供給から生産、流通までが一貫で行える設備があったこらこそ、ベニズワイガニの加工基地として発展していったようです。
そしてそれにより原料の需要が高まり、水揚高も増加したという相乗効果があったということは重要な点だと思われます。

 例えば、鳥取県以外で大量のイワシやサバが採れたとして、何百十トンもの魚を鮮度の落ちないよう加工する処理施設や食品工場は日本海側には境港しかなく、必然的に魚を満載にした船が境港を目指して集まってくるのです。

  かって、実は今でも、能登沖では 「夏まぐろ」 が大量にとれるため、これを石川県の名産にしたかった県の肝いりで、金沢中央市場に荷を入れさせましたが、内蔵抜きなどの処理が追い付かず、付加価値を上げるどころか、逆に下げてしまいました。 

いまでは能登沖や佐渡沖にとれた、一隻で何トンもの夏マグロを満載した船は日本海を縦断して、ここ境港まで何百キロも運ばれ、完璧な下処理をされ、 「境港・夏まぐろ」 として全国に出荷されています。

ここには腹を開くだけでも30人を超える職人やそれに倍する下処理をする人がいるのです。 

紅ズワイガニの山

紅ズワイガニの山

 明日未明にも石川の船がマグロを積んで入港してくると聞いた時には 「魚の場合は水揚げ港が原産地となってしまう」 のは分かりますが、それにしてもせっかくの 「能登まぐろ」 が 「鳥取まぐろ」 に変わってしまうのは、石川の人間としてはなんとももったいないことです。

■ 漁業の未来は地道な仕事にある

 さて、我々が訪れた時も、次から次へと満載のカニ漁船が接岸し、荷を下ろしていました。

 紅ずわい漁はかご漁で行われ、カゴはロープに50m間隔で150個が取り付けられ、海底に約2昼夜沈めてカニが入るのを待ちます。漁具の長さは、約1万mにもなり、これを9セットで使用します。

一カゴは30Kアップです

一カゴは30Kアップです

一カゴが30K入りで、一回に何トンもの水揚げがあるそうです。

写真のようにあまりに多いかごの量なので、大漁じゃないですかと問いかけても、

 ピークに比べて三・四割は水揚げが落ちているし、年々水揚げが落ちている。

今年は去年よりももっと悪い。単価が必然的に高いのは嬉しいけど、水揚げ量を自主規制しているからで、売り上げ全体としてははマイナスなんですよね。

それだけ資源が枯渇しているのですか?

・主漁場の大和やまと堆たいの周辺海域が暫定水域に含まれ、その前後から韓国漁船がどんどん入ってくるようになった。

・このため、トラブルが多発し、日本漁船は操業を断念に追い込まれるなど、締め出されてしまった。

・かつて、全体の9割を占めた同水域でのベニズワイガニの水揚げ量は今、3割に満たない。韓国漁船には実質的に操業規制がなく、その影響で資源が減っていることも大きい」

・しかも近くの某国は、こちらのかご網のズワイガニを漁具ごと奪っていく

・最悪、カニは我慢するとしても漁具までもっていかないで欲しいのが本音だ

・彼らは、それを再利用しているのだ。

・しかし、その漁具を利用しなければ生きていけない状況が分かるだけにあまりに切ない思いだ。

なんとも言葉にならない話が続きます。 

常務理事 福本 匡弥さんから説明を受けた

常務理事 福本 匡弥さんから説明を受けた

 しかし一杯二万円以上するズワイガニと比べて、30Kでその日の最高値が二万円と、安もの扱いされる紅ズワイも実は、高付加価値を持たすことは可能なんです。

  例えば、関西では京都の城崎温泉の近くの香住漁港でだけ水揚げされるベニズワイガニを、「香住ガニ」 と呼びブランド化されています。

そのキャッチコピーは、

「養分が豊富な海洋深層水で育った紅ズワイガニは、身が詰まり、甘味が強く、みずみずしい。」

「茹でガニだけでなく鍋、焼きガニ、カニ刺しなど、松葉ガニ同様さまざまな調理法で味わえます。」

 なぜブランドができるほど他との違いがあるのかは単純なことです。 

過去の中身が検品されます

過去の中身が検品されます

 境港の紅ずわいは五日間かけて漁がおこなわれます。当然ながら一日目の漁の紅ずわいと五日目の紅ずわいとは味もセリ値もまったく違います。 

五日目は生で販売するもの、一日目は加工用とにわかれます。その差は倍以上のセリ値がありました。

「香住ガニ」 の売りは、出航したその日に帰ってくる新鮮そのものだという事です。

あっという間に競られていきます

あっという間に競られていきます

単純だけど決定的な違いが、そこに生じるのです。

  4日目、5日目の漁の紅ズワイガニがないと加工業者は成り立っていけないのは確かですが、何とか住み分けて貴重な資源を大事にして欲しいものです。

また初セリという仕組みを使って値を上げるのではなく、付加価値を高めることによって自然に値が上がっていく。

それはお客様も納得し支持する価格であることが王道であり、関係者みなさんの幸せにつながっていくのではないかと思っているのです。

バイ貝の刺し身

食材の旅・隠岐のばい貝

松本社長の食材の旅 隠岐の島のバイ貝編

隠岐の島は金沢の食糧庫のひとつです

株式会社松本では、生産者や収穫者と直接コミュニケーションをとり、安心・安全で質の高い食材の確保を行っております。

~ 松本社長の食材の旅 ~

シリーズの5回目は、島根県・隠岐の ばい貝 の物語です。

 秋の風が吹き始めた頃から金沢の近江町市場の立ち食いおでん屋さんには多くの観光客が詰め掛けています。

金沢おでんは大人気

金沢おでんは大人気

新幹線開業の一年前から東京のキー局を中心に金沢の特集を組むようになり、そのなかで「金沢おでん」の特集が庶民的であり、かつその具材も金沢特有のネタを使うということで、珍しくもあり、全国的な注目を集めています。この店は新幹線開業の半年前からオープンをした店なのです。しかも入居しているビルが来年には立て替えるということで期間限定の開店なのです。

さすがに夏場は苦戦をしていましたが、春がやってくるまでは大賑わいとなるでしょう。

■ 金沢おでんとバイ貝

 その金沢おでんに欠かせないものの一つに 「バイ貝 (白バイ貝) 」があります。

 刺身にも出来る大き目のバイ貝を茹でて掃除をしてから (この刺身用の大きさが金沢おでんのポイントなのです)、おでん鍋の底が見える位の透明なあっさりとした、それでいて繊細で濃厚な出しつゆで素材本来の味を楽しめるようにして、お客様にお出しするのが金沢流なのです。

プリッとした歯ごたえの身と濃厚な肝はクセになるおいしさです。また、このバイ貝からも濃厚な出汁が出ることで金沢おでんは一層おいしくなるのです。

西郷漁協さんから差し入れをいただきました

西郷漁協さんから差し入れをいただきました

 さてこのバイ貝、金沢近海であがるものは 「加賀バイ」、富山湾で取れるものを 「越中バイ」と呼ばれていますが、近年では対馬海流の暖流と日本海流の寒流が流れ、その2つの海流がぶつかり合う遠く離れた島根県の隠岐の島からも、その水揚げのすべてが金沢に送られてきます。

富山以西の日本海側ではどこでも採れているバイ貝ですが、なぜか他の産地からの入荷はなく、隠岐の島産だけ限定で金沢に送られてくるのです。それは隠岐の島が漁獲量が多いということではありません。秘密は、その品質にありました。

かご漁のバイ貝採り

ばい貝船入稿

 日本海の沖、隠岐の島の豊かな海で育った新鮮なバイ貝達は、複数の船団で年間を通じて 「ばいかご漁」 と呼ばれる、ロープに付けたかごに餌を入れて海底に沈めて、おびきよせて中に入ったところを漁獲する手法で漁獲されています。

他産地のバイ貝と比較して、日持ちがよく、甘みが強い品質が加賀料理の食材として十分に通用するレベルの素材なのです。

 上記のようにバイ貝は金沢では、おでん種として、あるいは刺身として大きなものが珍重されます。関東など東日本では逆に、あまり刺身としては食べられず、炊いて前菜や煮物などに使うため小振りのものの方が高く、大型のものや小さいものはセリ値が安いのです。

すべての船では殺菌海水が使われている

すべての船では殺菌海水が使われている

年間を通してあまり味が変わりませんが、貝殻は薄くもろいため、割れたカラが異物として嫌われるため東京では人気がないと思われます。
しかしその身もワタも大きく歩留まりがよく、特に貝類には珍しくワタには苦みがなく、おいしい貝なのです。

10月18日からの今回の旅では、金沢中央市場の荷受のウロコ水産の副社長 川邉俊彦 氏と近江町市場の魚屋の面々とともに隠岐の島の西郷港を訪れ、その実態に迫ります。

さあ、箱詰めが始まります

さあ、箱詰めが始まります

西郷港では殺菌海水を自ら製造しています

西郷港では殺菌海水を自ら製造しています

■ 隠岐の島のバイ貝は、金沢仕様に合わせた漁業

西郷港の漁業協同組合 JFしまね 販売課長・齋藤 敬 氏と面談をして色々とお話を伺いました。

・週に、二回五隻の船で資源保護のための自主規制をしながらその上限が一回 5K入りで1000箱だけの限定のカゴ網漁をしています

社長みずから先頭に立ってバイ貝を選別します

社長みずから先頭に立ってバイ貝を選別します

・五隻の船はそれぞれが漁をするの範囲が決まって競業することはありません。

・それらはすべて金沢だけに送っています。

・1000箱のバイ貝は、一旦境港に送られそこからトラック便で金沢に送られる

・資源確保だけではなく、経費面でもトラックの積載量の面からも一回1000箱の漁と決めている。

・カニの解禁を迎えると四隻の船はカニ漁に周り、一隻だけがバイ貝漁を行なう。

選別作業が顧客指示の源です

選別作業が顧客指示の源です

 ・それが冬になるとセリ値の上がる原因である。

・その船がマルヤマで、これが一番セリ値の出る船であり、若手が多い船です。

・すべての船が殺菌水を使い、衛生面に気を使っている。

・セリ値の高い船は手間と経費をかけ選別や、鮮度の落ちない工夫をしている。

★ 手間を掛ければ掛けるだけ、美味しくなる事が、ここでも証明されjました。

・かご漁の餌は、経費節減のためサバや鰯が使われていますが、単価の安いニシンを使うかどうか検討中でしたが、意見を求められ金沢側から

殺菌海水に付けたスポンジが秘密の一つです。

下に敷くスポンジ、たっぷりの氷も鮮度保持の秘密

 「それは困る!」

「集魚方法の餌としてニシンはよく集まるのは分かりますが、煮物にすると臭い匂いがするで使わないで欲しい」

「それは年を召したお客様からよく聞く話です」 との金沢からの要望を伝えました。

齋藤 敬 氏からは 「聞いてよかったです。実はもうニシンの見積もりも、サンプルももらって実証実験をするだけになっていたのです。」

「やはりお客様と直接に接している人たちと話さなければいけないですよね。」と我々とのタックに前向きな意見をいただきました。
その他にも、

・一本釣りの目鯛などの水揚げがあるが、扱いが雑

・その修正があれば金沢で引きは取る

・バイ貝を運ぶトラックの隙間に入れてくれば運送費が安くなり、お互いにメリットがあるのでは・・・・

その後、宿に入り何やかやと雑談が始まりましたが、結論としては

船の乗組員が全員で選別に取り掛かります

船の乗組員が全員で選別に取り掛かります

 手間をかけるだけの工賃分が、セリ値で出れば、すべての船がそうするのだろうが、目に見えての費用対効果がすぐに上がらないだろうから、実現するまでには時間がかかるだろう。

 それはそれで仕方がないことだが、一船だけの問題ではないという事を自覚しなければならない。
そして乗組員の人手不足や高齢化の波に逆らい、若手を育て、夢のある漁業者にするためには、産地全体でイメージアップや質のアップ、ブランド化に取り組まなければならない。

我々としても産地をそだて、消費者に良いものを提供するには、産地と漁業者とタックを組んで取り組まなければならない。との結論に落ち着きました。

じゅんさい池収穫

食材の旅 じゅんさいは水の精霊

松本社長の開発・食材ストーリー じゅんさい編

じゅんさいは万葉の時代から知られた食材です

株式会社松本では、生産者や収穫者と直接コミュニケーションをとり、安心・安全で質の高い食材の確保を行っております。

~ 松本社長の食材の旅 ~

シリーズの4回目は、夏の食材としてはずせない じゅんさい の物語です。

  ここ2・3年石川県では奥能登・珠洲のじゅんさい (一般的に料理の献立では 順才 と表記します) が出回るようになって来ました。

かっては金沢市郊外の卯辰山でも生育していたじゅんさいも、今や4都県で絶滅、21県で絶滅または準絶滅危惧種となり (「日本のレッドデータ検索システム」2007) 石川県では絶滅危惧II類に分類され、全滅したのではないかといわれていたのですが、復活してきたように思われます。

腰が痛いじゅんさいの収穫リー じゅんさい編

腰が痛いじゅんさいの収穫

いままで奥能登にじゅんさいが採れたなんて聞いたことがなかったのに突然、降って沸いたかのような話なのです。いままで誰も見向きもせず、食用に出来るのも知らず、放置されていただけなのでしようか。天然の沼に産するのか、あるいは作られているのか?それもよく分からない状態です。

そこであらゆるツテを頼って、まずはどんなところで生存しているのか、あるいは育てられているのかを確かめるべく、同じ石川県県内ですので車でス~ッと行って見学させてもらうことにしました。と、いっても金沢から2時間強かかる道のりです。

■ じゅんさいといっても普通の人はわからないので簡単な説明をおこなうと

じゅんさいは世界に広く分布している植物ですが、食用にしているのは中国と日本くらいで、日本では古くから食用として古事記や万葉集などに 「 奴那波・沼縄 (ヌナハ、あるいはヌナワ)」と記載されています。江戸時代中期の 『農業全書』 でも、山野菜の一つに挙げられ、栽培方法についても触れられています。

じゅんさい採りの1コマ

じゅんさい採りの1コマ

スイレンなどと同じように葉を水面に浮かべる水草で、澄んだ淡水の池のみに自生し、水面下の茎の頂部から出たヌメリを含む若葉と茎を食用とします。ヌメリやアンコと呼ばれるゼリー状の粘液は栄養的価値は低いのですが、ビタミンBが豊富で、そのものの自体の味を楽しむというより、食感、歯触りとのどごしの良さを楽しむ食材なので、吸い物や三杯酢、わさび酢、わさび醤油などの酢の物に使われます。

全国の生産量の90%が秋田県で、かの地では木舟を浮かべて 「採り子」 が一人乗り込みがジュンサイを収穫する風景が初夏の風物詩として有名です。

■ 水そのものの味を味合う、じゅんさい

 じゅんさいは、清らかで豊かな水でしか生きる事ができません。実にその96%以上は水。つまりじゅんさいの味は水の味ともいえます。
そしてもし生活排水や農薬・除草剤などが生息沼に流入すると 味が濁ってくるのはもちろん、じゅんさいは枯れてしまいますので、まさに、じゅんさいは水資源と流域の環境バロメーターともいえます。

じゅんさい摘み

じゅんさい摘み

じゅんさいは自身が持つヌメリの量こそがその価値であり、身上です。ヌメリがなければ、ただの葉っぱとなってしまいます。つまり新芽や葉が大きいほどヌメリが分散し薄くなってしまい、それは大きく価値を下げてしまうのです。

奥能登の天然じゅんさいとして販売されているこの食材は、粒は大きいのですが、その割りにヌメリの部分が大きいのです。もしもそのなかから Sサイズ、もしくは Tサイズを選別できれば十分商品力があり、当社の基準にあい、販売するレベルにあると判断したのです。

■ 季節を追いかけ日本を縦断していた時代から環境を守る時代に

 普段、私どもが取り扱うのは、葉が開く前の蕾のような芽の部分と茎、花のつぼみを手作業で摘み取ったものです。これを一粒一粒手作業で太い茎の部分をカットし排除し、たっぷりのヌメりに覆われた1cmから1.5cmの若芽のみを選び抜いたものです。手間暇掛けて生み出されたものだけが持つ極上の食感をお楽しみいただけると思います。

じゅんさい摘みは重労働

じゅんさい摘みは重労働

 かって当社は、4月の九州産の収穫から始まり、季節を追って兵庫県産から京都府産、青森産、最後は北海道産と産地を移し提供していました。

しかし前出のように近代化の開発と環境悪化のためにその生産量は激減し、絶滅滅危惧種となり、また品質も悪化の一歩をたどってきました。

そこで私どもは全国の生産地の中から安全性と品質を担保し、お客様に自信をもって販売するために産地を限定することにしました。例えば、私たちは青森県の津軽地方に注目し、手付かずの自然がある津軽国定公園のべんせ湿原近くのじゅんさいも仕入ています。

青森産に限りませんが当社が取り扱う秋田産でも若芽の周りについたヌルとかヌメリやアンコと呼ぶ寒天状の粘液質がほかより豊富で厚く、食感と味が違うと高評価を受けております。

何度も繰り返しますが、品質の良し悪しは、小さなつぼみ若葉についているヌメリの量と味、ヌメリが多ければ多いほど食感がよくなり、味はすなわちヌメリの味、育った水の味ということになります。

日本中から良い食材を集め、使い捨てた時代から、よい味を守り続けるためには、環境を守ることが唯一の道の時代になったのです。

■ かって日本一の評価をうけた京都の深泥池産 魯山人はかく語る

 古くからじゅんさいの最高級品は京都の洛北・深泥池(みどろがいけ)産とされてきました。

一面のじゅんさい

一面のじゅんさい

しかし私が学生時代にはもはや、その水質は悪化して、まさにその名のとおり深い泥の池と化し、とても食べれる物がある場所とは思えず、産地の名前だけが記録として残っている状態でした。

 美食家として名を馳せた芸術家の 北大路魯山人は昭和7年に上梓された「魯山人味道」の「洛北深泥池の蓴菜」の中でじゅんさいについて以下のように述べています。

 じゅんさいというものは、古池に生ずる一種の藻草の新芽である。
その新芽がちょうど蓮の巻葉のように細く巻かれた、ようよう長さ五分くらいのものを賞玩するのである。その針のように細く巻かれた萌芽を擁護しているものが、無色透明の、弾力のある、ところてんのような、玉子の白味のような付着物である。

 (中略)

 これを水中で見ると、そのかわいい芽が水色の胞衣に包まれている。
それは造化の神の教えによって分泌する粘液体である。このぬめぬめの粘液体が厚くじゅんさいの新芽に付着しているために、じゅんさいは美食としての価値がある。

この粘液体がなかったら、じゅんさいは別段に美味いものではない。だから、この価値は粘液体の量の多少によって決まる。ところが池沼によって、このところてん袋が非常に多く付着するものと少ないものとある。

 (中略)

 そこで、どこのじゅんさいが一番よいかと言うと、京の洛北深泥池みぞろがいけの産が飛切りである。

これは特別な優品で、他に類例を見ないくらい無色透明なところてん袋が多く付着している。
この深泥池のものを壜に詰めて見ると、玉露のような針状態の細い葉が、その軸の元に小さな蕾をつけて、点々と水にまざって浮いているように見える。

 眺めるものは正味のじゅんさいが少なくて、水中に浮遊しているようではあるが、壜中、水に見えるものが、すなわち粘液体であって、出して見ると海月くらげの幼児の群れのようにぬめるが、水分はほとんどないと言ってよいくらいである。
そういうものでなくては、ほんとうに美味いものではない。

自分の知っているかぎり、深泥池に産するようなものは余所よそにはないようだ。  ・・・・・ (後略)

   (昭和七年・「魯山人味道」中公文庫、中央公論社 より)

 現在、この深泥池全体が天然記念物深泥池水生植物群落に指定され、少しずつですがかつての自然の姿に戻りつつあるといいます。

まだ残念ながら水質及び環境の悪化でじゅんさいを採取し、食すことは出来はませんが、環境改善によって植生の復活が見込まれているようですから、遠くない将来、再び味わえる日が来るかもしれません。

初猟や深泥ケ池に道をとり       山口誓子

蓴生ふ池の水(み)かさや春の雨    蕪村

浮き島の位置見失う蓴菜舟       桶本詩葉

見一つを入るる盥(たらい)に蓴採る  鈴鹿野風呂

葉隠に蛇の子がゆく深泥池       惟之

■ 奥能登のじゅんさいに出会う

 さて話は戻って奥能登のじゅんさいです。
ツテをたよって出荷者のA氏にお会いしました。

じゅんさい畑01

じゅんさい畑01

顔写真などはNGといわれたので、仮名にさせてもらいました。去年、金沢の業者さんがホームページで紹介したため、てんやわんやになって迷惑だったというのがその意でした。
農家さんや漁師さんなども一家言を持っている人ほど、この手の話をよく聞きますが、自分の仕事に集中したいという使命感の発露がその真意でしょう。

奥能登のじゅんさいアップ

奥能登のじゅんさいアップ

池か沼で採取しているのですか?

とお聞きしたところ、田んぼで米を作らなくなったので休耕田を利用してじゅんさいを栽培している。試しに市場に出荷したら案外と好評で自分自身で驚いているのですよ。ゴルフが好きなので何回分かのプレー代が出れば、それで十分なのですがね。

天然という評価は、農薬も肥料もやっていないからですが、それが独り立ちして勝手に走っている状態なので本人としてはかえって迷惑している。とのことでした。

じゅんさいを採ってもらう

じゅんさいを採ってもらう

 栽培現場を見せてくれるというので能登半島の先端・軍艦島として有名な見附島の近くの珠洲から深い山の中に入っていきます。日本で初めて世界農業遺産に認定された、輪島の近くの小さい田が海まで迫る千枚田のまさに逆で、山頂近くまで小さな田が迫ります。近くまでは車で行けるのですが、何度か下に落ちそうになるくらいの道を上り下りしたところに、その地がありました。

■ 手間ひまをかけて特選品を出荷しませんか!

 山水(やまみず)を取り入れてかっての田んぼで遊びで鯉を飼っていたのを、2年前からこれまた遊びでじゅんさいを栽培してみたと、笑って話をされます。遊びといいながら農業試験所に相談したり、秋田までじゅんさいの栽培を習いに行ったりと本気度は全開です。

じゅんさいと一緒に

じゅんさいと一緒に

ゴム長をはいて現物を見せていただきましたが、そのヌメリ・アンコの付き方は、採ってすぐのこともありますが、いいつき方をしています。但し摘み取りの時期が遅いため大きく育ちすぎています。大きくなる前に摘み取ってくれれば品質が上がります。

しかし次から次へと摘み取っていけば、次から次へと新芽は出てきますが、自分の見るところ収穫量は年間で100K超~200K位でしようか。

 青森や秋田でもそうですが、大きいものは地元消費や自家消費、中位のものは青果市場に出荷し、選別に選別を繰り返しヌメリを多くもち小さいものだけを特選品として我々のマーケットに出荷します。その量は全体量の5~7%と聞いています。

私のために朝のうちに採取した総量を確認しましたが、いまの摘み取りのやり方では、やはり5%程度でしょうか。当然ながら手間がかかる分、買取料は高く設定してその労力に応えさせてもらうのですが、買い取り値段は十分にありがたいことですが、仕組み的にうちで出来るのかしらと思案げです。

山の中です

山の中です

大きな産地と同じように何件かの農家が集まって、共同の作業をすることによりマスメリットを享受し、品質の安定はからないといけないのかもしれません。また山水だけでは、真夏に水不足になる可能性や水質悪化の恐れも考えられるのできれいな水源の確保も必要となります。

当社の基準をクリアーするには仕組み、その他で、ひとっ飛びには出来ませんが、まずは当社基準の大きさとヌメリの量を確認してもらうために、当社の現物を見てもらうことにして、またの再開を誓い合いました。

じゅんさいの花

じゅんさいの花

 

がんばれ! 奥能登のじゅんさい!

  2015年 5月25日 訪問

岩のり採り

食材の旅 厳しい自然が育てる岩のり 

松本社長の開発ストーリー 岩海苔編

 

岩のりは、冬の食卓に欠かせない、奥能登 ・ 母親の味です。

株式会社松本では、生産者や収穫者と直接コミュニケーションをとり、安心・安全で質の高い食材の確保を行っております。

~ 松本社長の食材の旅 ~

シリーズの3回目は、奥能登の荒海で育った天然の味を求める物語です。

岩海苔採りのお母さんと

岩海苔採りのお母さんと

 今回は奥能登、珠洲が舞台。石川県でも最北端です。岩のり収穫をお願いしているお母さんを訪ねました。

岩のり採り

岩のり採り

現場は冬の日本海。ザッバ~ンという荒波のイメージそのものの海岸です。
岩に砕けた波に空気が混ざり石鹸の泡のような水泡となり、空中に雪のように舞って  「波の花」 となって海岸一帯をおおいつくします。海が汚染されていると、波の花は出来ませんので、波の花は海がきれいな証拠なのです。

■ 岩のり採りは命がけの仕事です

 そしてシベリアから吹きおろす強烈な風が吹き荒れ、波が砕け、波の花が舞う岩場では、自然に岩々の表面にぬるぬるとした海苔が生えてきます。これが 「岩のり」 で、寿しで使う 干した海苔 とは違って、潮で湿り、ボタボタの状態になっているので輪島では 「ボタノリ」 とも言われます。

送られてくる岩のり

送られてくる岩のり

収穫は 「命がけ」 という言葉そのものです。命綱も着けずに波打ち際の岩に登り、岩に張り付いた海苔を採っていきます。冬の日本海は、シベリアから吹き下ろす冷たい風で海は荒れ、雷鳴は鳴り、大雪が降り、晴れの日はごくわずかです。

そのほんのわずかな日で波の静かな時のみ収穫が可能となります。それでも予想外の高い波で海水をかぶったり、最悪の場合は波にさらわれたりして不幸な事故があとを絶ちません。また嵐がやってくれば、それまでやっと育った岩ノリを波が根こそぎさらっていきます。

神馬草の生

ギバサ(神馬草)の生

冷たい荒波が岩ノリを産み育てるのですが、それが強すぎればすべてがゼロに戻るのです。そのため月のうち一回も収穫が出来ないことも何度もあるのです。いかに貴重な食材であるということが理解いただけるでしょうか。

その過酷な現場ゆえに、また能登自体の過疎化・高齢化も進み、続けていく人がどんどん減っているという状況です。

神馬草をボイルすると真ッ青に

ギバサ(神馬草)をボイルすると真ッ青に

 私どもの店も2000年からこの珠洲の天然・岩のりを扱うようになりましたが、そのお母さんもいまや80才を過ぎ、年を重ねるごとに岩のりを摘みに出る機会も減っていきました。こちらも無理にお願いをして、もし万一の事があれば責任を取れませんので、ご本人とご家族にご相談をさせていただき、今の若い(?)お母さんを紹介していただきました。おかげさまでいまは、なんとかに入荷できるようになりました。

採れたて かじめ

採れたて かじめ

 能登の岩のりは日本海の荒波で育つため、しっかりとした磯の香りがあり、栄養価も高いと言われています。しかもコンクリートで作られた岩のり畑ではなく、ゴツゴツとした本物の岩礁で収穫された岩のりは一段と味も香りも高いと評価されています。

当社のお客様には常に少しでもよい商品を提供するように心がけ、かつ収穫される方をバックアップするためにも、高級食材として評価していただける所に販売することにより、生産者の方の努力が正当な評価を受けられるようにするのも私たち株式会社松本の役割です。

 おもに岩のりは、料理屋さんでは吸い物の椀種として使われ、お椀のフタを開けた時に一気に磯の香りが広がり食欲を刺激します。また刺身のあしらいや酢の物として使われますが変ったところでは小鍋にて 「岩のり鍋」 としても提供されます。

カジメをボイルしました

カジメをボイルしました

水で戻すと大きく増えますが、養殖や人工の岩礁で作るものと違い、自然の岩に付着するものですので砂がかむことがありますので丁寧な水洗いが必要です。

■ 能登のソウルフードは、海の恵み・海藻です

 また寒波が過ぎ、岩のり採りが終われば、今度は 「 はばのり 」 「 ぎばさ (神馬草)」 「 あおさのり 」「 かじめ 」などの海藻 ・ 海の幸がいただけるのです。
海と暮らす能登の人々は、昔から一年中海藻を食べる習慣があり、旬 の時期は生で食べ、それ以外は乾燥させて保存食にました。

ねぶた温泉 海游 能登の庄

ねぶた温泉 海游 能登の庄

昔は割った竹に味噌で味付けした ギバサ をぐるぐると巻きつけ囲炉裏端で焼いた 「くしめ」 という料理が一般的だったそうで、遠赤外線で外はパリッと中はふっくらと焼け、磯の風味が増してそれはそれはおいしかったそうです。

 輪島のねぶた温泉 「能登の庄」 の調理長は、30年来の古い付き合いの 林 彦義 さんで春先に、ここにランチを食べに行ったところ、大き目の松葉串に岩のり、ギバサ、刻んだカジメをぐるぐると巻き付け、小鍋仕立てにしてある海草しゃぶしゃぶをいただきました。

調理長・林 彦義

調理長・林 彦義

出し汁にいれるとサッと真っ青に色が変わり、磯の香りがして、とても趣のある良い料理でした。

 金沢市の柿木畠にある蕎麦屋、 「 更科・藤井 」 さんも岩海苔を提供しているお店の一つです。麻布の 「 更科堀井 」 で修行を積まれたご主人による、金沢では珍しい江戸前蕎麦を提供するお店です。

藤井のカウンター

藤井のカウンター

 

ここでは、蕎麦をはじめ一品料理などに 岩のり が使われております。海苔そのものは脇役的な存在ですが、すべての食材にこだわっている顕れですね。

 このほか乾燥して浅草のりの状態にした 「 はばのり 」 や、ナマコの卵巣を干して作る 「 くちこ 」 も提供させていただいております。

藤井のそば切り

藤井のそば切り

 私たちは本当の美味しさを求めて、そして安全で安心な食材を求めて、今日も産地へ向かいます。この季節だけの旬の食材を求めて・・・。

手打そば 更級藤井(さらしなふじい)
【住 所】 石川県金沢市柿木畠3-3
【電 話】 076-265-6870

食材の旅 季節を感じて美味しくいただく山菜採り

松本社長の開発ストーリー 山菜採り編

山菜のほろ苦さとアクの強さが美味しさ秘密です

株式会社松本では、生産者や収穫者と直接コミュニケーションをとり、安心・安全で質の高い食材の確保を行っております。

~松本社長の食材の旅~

シリーズの2回目は、山菜採りの名人とともに、崖を登り沢を下る物語です。

山菜採り

山菜採り

 山菜は山や野に自生しているもので、食用にする植物のことをまとめて 「山菜」 と呼びます。今回は、山菜採り名人の舞島さんと、春の山菜を探しにでかけました。

趣味で山菜採りをされている舞島さん。毎年、限られた数量ですが、季節の山菜をご提供いただいております。たらの芽に始まり、こしあぶら、こごみ、わらび、山独活(うど)、かたは、細竹、珍しいところでは、かたくりの花、モミジガサ と採ってきていただいております。

■ 子供にも秘密の隠しポイントを教えてもらいました

これが こしあぶら です

これが こしあぶら です

 そこで今回の取材のため一緒に連れて行って欲しいとお願いしたところ、金沢の中心地から一番近いところへ連れて行っていただきました。

これは異例のことです。というのも自分だけの穴場は誰にも教えないのが普通だからです。例えば、父や祖父が毎年山ほど山菜を採ってきていても、亡くなってしまうと、その場所がどこにあるのか、誰も分からずじまいになってしまいます。なぜなら、山菜のありかは、親兄弟でも教えてはいけないと言われたほど貴重なものだったからです。

こごみ です

こごみ です

山の中を歩き回ります

山の中を歩き回ります

 

ですから、詳しい場所はお伝えできないのですが、湯涌温泉からさらに山に入ります。前にあるのは道なき道。時には崖を登り沢を下り、とても定年過ぎとは思えないほど軽やかな歩みです。しかも見つけるのも早い! ピンポイントで山菜の場所に見当をつけ、次々に採っていきます。負けじと追いかけるのですが、写真を撮るときだけ笑顔を作るのですがついていくのだけでかなり必死です。

■ 春は命をいただく感謝の季節です

こしあぶらをゲット

こしあぶらをゲット

すすたけともいいます。

すすたけともいいます。

 

 この日のお目当ては独活(うど)とタラの芽。金沢市内の高級料亭やホテルにお届けするための食材です。天ぷらなどで使われています。

急斜面を上ります

急斜面を上ります

 

日本は四季のある世界でも珍しい国です。料理を作る素材は当然その四季の移ろいと共に変ります。春は山菜など「新芽」を食べる季節です。
冬のあいだ寒風にさらされ、あるいは雪の下でじっと縮こまっていた命が、春の訪れと共に土の温度が上がりいっせいに動き始め、ありとあらゆる生命が、色々な植物が芽生えてきます。

春はそういう芽を食べる季節なのです。春に収穫される山菜を食べるということは、その命を食べるということです。季節、自然の恵みをストレートに味わってください。

かたくりの花の群生地です

かたくりの花の群生地です

山菜の一番の美味しさは、あのほろ苦さとアクの強さでしょう。そのアクこそが美味しさの1つですので子供には難しく大人の味といってもいいでしょう。最近になって、たらの芽のように山菜を栽培する農家も出てきましたが、やはり食べ比べるとまったく味が違います。天然物を召し上がっていただくことで、はっきりとした季節の変化も楽しむのが、山菜の良いところなのではないでしょうか。

私たちは本当の美味しさを求めて、そして安全で安心な食材を求めて、今日も産地へ向かいます。この季節だけの旬の食材を求めて…。

食材の旅 漁師は男のロマン。自分の人生そのもの

松本社長の開発ストーリー 能登島の漁師編

能登の 海の幸の実力を日本中の人に知って欲しい

株式会社松本では、生産者や収穫者と直接コミュニケーションをとり、安心・安全で質の高い食材の確保を行っております。

~ 松本社長の食材の旅 ~

シリーズの1回目は、能登島の若き漁師の物語です。

平山さん

平山さん

 能登は食材の宝庫。能登半島の海には外浦と七尾湾の内浦があります。荒々しい外浦と、穏やかな内浦。能登島はその内浦にあります。七尾湾、富山湾が主な漁場。対馬暖流と能登半島が作る最高の漁場、天然の生簀と言われています。ここにいま注目の漁師を訪ねます。

■ 能登島から海の恵みを。100%実力の世界で勝負する

 あれ、見たことあるナ~。と思う方も多くいるのではないでしょうか。
そうです 「ジョブチューン」 に出演したことのある元・K1戦士のタコ漁師の平山泰之さんです。
彼が行うのは秘伝の 「タコかご漁法」 や 「刺網漁法」 。刺網漁とは、魚の泳ぐ先に網を張り、網目に魚の入り込ませて獲る漁法です。待って獲るというわけではなく、小さな船を自在に操り、魚を狙って獲るイメージです。海の中の複雑な形状を把握しておく必要があります。
定置網は場所が50%、実力が50%。それに対し、刺網漁は100%実力の世界だそうです。

平山さんは3代続く漁師の一家。小さい頃から祖父の猟師の姿を見てきたので、漁師になることには当然のことだと思っていたとか。国産の安心で安全な魚介類を食べていただきたいという強い思いをもってます。

■ 三方良しのマッチングが私達の使命

 熱い思いをもった平山さんから株式会社松本が仕入れるのは、いまのところは 「 タコ 」 です。秘伝のタコかご漁法で獲るので傷のないキレイなタコです。
彼はここで年間10トンの水揚げをするそうです。もちろん七尾湾でNO1の実力といっていいでしょう。しかも彼の採るタコは1Kを超える大型サイズなので美味しいのです。もちろん漁師さんですので加工なんて出来ないのですが、ここに当社が介在する可能性を見つけています。
そこで年間5トン程度を 「 能登のたこ旨煮 」  として加工している工場へ話を持っていったのですが、イマイチかみあいませんでした。私たちは食材を使うほうも採るほうもどちらにとっても良くなってもらうのが目的です。どちらか片方だけではダメなのです。今の時代、自分の都合ばかりだとそのうち末端のお客様から見放されると思います。

しかし大きさや味のほかにもっと付加するものを提案できなかった自分の勉強不足のせいで、プレゼンが失敗したのだと反省しています。自分の力不足を痛感した案件でした。でも、あきらめてはいません。可能性は大きいと思っています。

■ 新しいビジネスモデルの提案で需要を作るのが夢です

 全国の漁師や漁場と結びつけば、既存の仕組みの枠の外に独自の流通モデルや新しい価値感を提案することができ、お客様にいま以上の美味しい海の幸をお届けすることができるはずです。そして国内の漁師が獲るものを食べるということは、漁師を育てることにもなります。

天然の生簀から直送される鮮度抜群の魚介類、いましばらくお待ち下さい。

 私たちは本当の美味しさを求めて、そして安全で安心な食材を求めて、今日も産地へ向かいます。この季節だけの旬の食材を求めて・・・。

【販売者】 ㈱ 松本