岩梨はツツジ科に属する植物で、主に山地や亜高山の岩場に生息します。
独特の食感が果物の梨に似ていることから「岩梨」と名付けられました。
プロの調理師でも見た人が少ない岩梨
しかし、一般的に流通することは少なく、「幻の食材」とも称され、その希少価値は非常に高いです。その果実は焼酎漬けとして保存され、風味や香りが強まり、独特の味わいを放つ一品となります。
食すのは小さく、熟すと赤や黒に変わる果実で、6月から7月に熟します。食感はシャリシャリとして梨に似ています。山の岩壁になっている岩梨という、まさに名前のままの岩になる梨なのです。
古くから焼酎漬けにされて料亭や高級料理店で使われてきた、特別感のある食材です。岩梨の歴史は、奈良時代にさかのぼります。奈良時代の書物である『万葉集』には、岩梨の歌が詠まれています。また、平安時代の書物である『枕草子』にも、岩梨の記述があります。
そのため、プロの調理師の間では、よく知られた食材でしたが、近年では山に入って採る「採り子」さんの高齢化や乱獲もあり極端にその収穫量が減っています。
そのためもはやその存在を知る調理師も少なくなり、調理法も料理もその存在さえ忘れられようとしています。
岩梨を料理に利用するメリット
岩梨を料理に利用するメリットは、以下のとおりです。
・特別感のあるメニューを創ることができる
・食感や味わいがユニーク
・栄養価が高い
岩梨は、見た目にも美しい食材なので、特別感のあるメニューを創ることができます。また、食感はナシに似ていますが、酸味や苦味も感じられる、ユニークな味わいです。さらに、ビタミンCや食物繊維が豊富に含まれている、栄養価の高い食材でもあります。
料亭やレストランでは、季節ごとの食材を活かした料理が求められる中、岩梨のような独特の食材を巧みに取り入れることで、お客様に新しい味わいや驚きを提供できます。つまり岩梨の希少性を強調することで、お客様に特別感を与えることができます。
岩梨を使った料理
よく使われるのは、岩梨の焼酎漬けに松葉を刺しての前菜・八寸として提供したり、寄せ物の上にトッピングとして、茶懐石の箸洗いとして、その独特な風味と食感を楽しむことができます。また、岩梨と季節の果物を組み合わせた盛り込みや、岩梨焼酎を用いたオリジナルカクテルなど、多岐にわたる活用法が考えられます。
焼酎漬けの岩梨は、料亭やレストランでの一品として非常に魅力的です。焼酎の中で保存されているため、その風味や香りが強まり、独特の味わいが楽しめます。
岩梨の焼酎漬けを使ったアミューズ
岩梨の焼酎漬けを薄切りにし、クリームチーズや塩味のクリスプと組み合わせて、一口サイズのアミューズとして提供。焼酎の香りと岩梨の食感が絶妙にマッチします。
岩梨の焼酎漬けと果物のサラダ
熟した果物(例:マンゴーやキウイ)をダイスカットし、岩梨の焼酎漬けを加えて混ぜ合わせます。焼酎の風味が果物の甘さを引き立てる、爽やかなサラダに。
岩梨の焼酎漬けを使ったカクテル
焼酎をベースに、岩梨の焼酎漬けのシロップを加え、さらにライムやミントをトッピングして、オリジナルのカクテルを提供。岩梨の風味が新しい味わいをもたらします。
岩梨の焼酎漬けは、独特の風味と食感で魅力的な食材です。シェフや調理師の皆様、当社で手当てできるのは岐阜県の高山産ですが、この希少な「幻の食材」、岩梨を活用し、新しい料理の世界を探求してみてはいかがでしょうか。
その特別感を活かすことで、お客様にとって忘れられない食体験を提供することができるでしょう。