かつてこの小さな金沢という街に多くの観光客が訪れた時がありました。街中に人が溢れ道路には車が溢れ、道路が狭いとはいえ近江町から兼六園に行くまでまでにゆっくり歩いて15分だったのが車で30分、同じく近江町から金沢駅近くの六枚を抜けるまでに歩いてなら10分が、車で30分かかってしまいます。
そんな街に観光客が行きたいと思うでしょうか。また住みたいと思うでしょうか。
住んでいる人が気づかない金沢の魅力
日本人であろうが外国人であろうが観光客の増加だけを目指す方針は間違っているのではないでしょうか。日本は観光資源に生まれた国です。歴史も自然も文化も特に食も、魅力的な観光地に必要なものは全てあります。
金沢全体が箱庭のような非日常の世界
歴史と伝統文化が近代と調和する市民生活
江戸時代より日本全国から集まる食材
公家料理と武家料理が融合した加賀料理
世界的にリゾートホテルを展開するアマングループが進出を決定する時に、考える決定的要素を全て満たしているのは世界中で日本だけなんだそうです。残念ながらその中でも京都が1番だそうですが、金沢も自分の魅力に気づき発信するならば京都を脅かすのも遠い日ではないでしょう。
金沢もオーバーツーリズムに
人は文化の低い所から高いところへ流れるといいます。
しかし、京都でのコロナの前を思い出してください。いわゆるオーバーツーリズムで祇園のそばの花見小路は観光客で人混みが波のようになり、舞妓さんが来るとウェーブのように波だっていました。駅前から神社仏閣、住宅街まで人が溢れて、地元の人は、バスにも乗れませんでした。
マナーも悪く地元の人にとって「ようこそ観光客のみなさん」でなく、「勘弁してほしい」から「出て行け観光客」だったそうです。日本人の観光客にとっても特に富裕層にはそういう雰囲気を嫌い、離れていく一方手前でした。
金沢はうまい具合に、そこに行く風が吹くちょっと手前でコロナにより、いやおおなくですが立ち止まることができました。
”win win” の関係に
まだ間に合います。
金沢は、ハイエンドなホテルや宿を中心にすることで観光客を絞り込み、客層の質を上げ、数よりも「どれだけ楽しんでお金を使ってもらうか」「何回も来てもらえるか」それを意識したほうが市民にとっても、県民とってもよく、もちろん訪れる観光客にとっても満足できる時間を過ごせることができる ”win win” の関係になると思います。
鎌倉に流入する観光客の数を絞るために車での鎌倉入りにお金をとっているやり方をもう一歩進めて、金沢に来る人には都市税を取り富裕層しか入れないハイクラスな街にする方向もあるでしょう。
極端な話、東京ディズニーランドか金沢かという形になればいいと考えています。
ディズニーは何度もの値上げを繰り返していますが、その集客力に衰えはありません。そんな値上げ値上げの状況にもかかわらず「二度と行かない」という言葉は耳にしません。
最近は17,000円近くになり決して安くはない金額を払っても、通い続けるリピーターが多いことも事実です。
年々価値観が上がり「また行きたい」「次回も新たな発見ができるのが楽しみ」との声が多く聞かれます。
ディズニーランドの人気の秘密はアトラクションよりも、そこに働くキャストだという人もいます。それが真実だとすれば、金沢に落とし込むならば、キャスト=観光事業で働くスタッフ→むしろ→市民のホスピタリティーになるのでは。
そうならば今の京都の街のように住みにくい金沢の街になれば本末転倒になるのではないでしょうか。
もちろんその税金は金澤と県内の魅力アップと市民のためにに使うためのだけのものとします。
批判を恐れずに言えば、地元にお金を残してくれない観光客は来てくれないほうがいいのです。
良いものを提供し、その結果訪れるお客さんに満足していただけるのならその対価としてそれなりの金額をいただくことがビジネスの基本でもあるのではないでしょうか。