新しい販路を持つことで磨かれる農家の経営センス

ユニゾインホテル金沢駅前の客室392室のホテルも10/31で一年半の営業を終了する。

 残念なことに、長い間インターンシップで協力してくれた眞島千尋さんもいよいよ来年は4年生となるため就活に専念することになりました。そこで彼女を含め3人のインターン生が2年以上をかけて農家やシェフの間を廻って情報を集めてきてくれたことを含め、一度振り返ってみました。

変貌する消費構造

10月も過ぎ、はや年末を迎えようとしていますが、コロナにより世界は混とんとしていて日本から世界へと世界から日本へと訪れることも難しく、金沢市内の民泊は開店休業の状態が続き、新聞紙上ではホテルの廃業や休業が報じられています。

その中でもバブル崩壊やリーマンショックとは違い、コロナ禍による社会の変貌は特に食のシーンに大きく現れました。

国や自治体からの要請により、外出や外食を避けるようになったため飲食施設は軒並み営業の自粛・縮小を余儀なくされ、本来は学校給食や外食用に仕向けられていた食材が行き場を失う事態となってしまいました。

相場を大きく落としながらも小売り用へと流通された商材もありますが、その一方で多くのロスや廃棄が生じました。コロナによって引き起こされた、こうした消費構造の急激な変化が起きたのも記憶に新しいところです。

特にコロナ危機を通じて顕在化され、一番恐れられたのが卸売市場などの物流拠点におけるクラスター化です。
中国・北京市の生鮮卸売市場「新発地」では、市場関連の感染者が50人を超えるクラスターとなり同市場は閉鎖されました。

その一方、日本国内では、フードサプライチェーンの「川中」に位置する京都市中央卸売市場内の店舗で感染者が確認されましが、幸運にも感染拡大には至りませんでした。

しかし「川下」における食品スーパーのいくつかでは従業員の感染による店舗の一時閉鎖になった事を考えれば、北京市の事例は決して対岸の火事ではなく、食品市場内におけるクラスター化の懸念は十分に起こり得る脅威と認識する必要があります。
特に卸売市場など食品流通におけるハブ拠点が閉鎖される事態になれば、フードサプライチェーンは壊滅し、食品の安定供給に与える影響ははかり知れません。

もしこのような事態が勃発すれば、農家が市場の出荷だけに販路を頼っていたならば相当危険な状況になることが危惧されます。

その安全弁の一つとして新しい販路の開拓を考えられたらいかがでしょうか。

新しい販路として飲食店との取引

世界は今、誰も予測できなかったような苦境の中にいます。一説では飲食店に関しては最大の被害者かも知れず、このコロナ禍は三年は続くと言われていますが、その中でも再び営業再開ができる日々を迎えるために、ECサイトを始めたり、テイクアウトを導入したりと、自ら出来る限りの手段でこの苦境をなんとか乗り越えようとしています。

行き場を失う給食食材

行き場を失う給食食材。日経新聞より

また最大の被害者だからこそ、世界中で多くの人が真っ先に飲食店で苦しむ人を救うためのアイデアを生み出し続けています。

例えば、

・Shake Shack(アメリカ):自宅で店のハンバーガーを再現。手づくりで楽しめるDIYキットのデリバリー

・FruPro(イギリス):新型コロナによる食品ロスに立ち向かう、英国発の無償プラットフォーム

・SavePhillyEats(アメリカ):ユニークな料理体験に先払いして飲食店を支援する

・CANADA TAKEOUT(カナダ):店と客が協力してテイクアウトを促すキャンペーン

・ピックマルシェ(日本):卸業者と飲食店がタッグを組み食材とご馳走をピックアップ

コロナは私たちだけでなく世界中の多くの人の日常を奪い大きなダメージを与えていますが、その中で希望を見出すとすれば、「世界で共通の問題に立ち向かい、乗り越えるために世界中の人と人との結びつきが強まっている」ことではないでしょうか。

だからこそ、いまチャレンジする可能性を考えてみます。

直接料理屋さんに卸す。MEGLIYの鍋島亜由美さん直接料理屋さんに卸す。MEGLIYの鍋島亜由美さん

農家がレストランとつきあう5つのメリット

多くの個人農家さんは自分で育てた農作物を農協に買い取ってもらい、農協はこれを各種小売り、店舗などに卸しています。
一方でJAや市場を通さず、直接に家庭やレストランなどに販売する人も増えてきました。

やる気のある農家さんにとって丹精を込めて愛情深く育てた作物が、市場において他のそうでない作物と同等に扱われているのを見るのはやるせない気持ちになることがあると思います。

そこで農家が自信を持って育て上げた高品質、美味し野菜や米をネットビジネスを介して販売していくことが2000年初頭から、これからの農家の有望な方法と言われ続けました。しかし、大きな営業力を持たない個人農家では新規の販路の開拓が厳しい状況でした。

健康志向、食の安全意識の向上により、これらの高品質の農作物を食べたい、買いたい消費者が増えているのは事実ですから、直接に販売する方が自分の農作物に正しい評価を付けてくれるし、料理を作るシェフの声が励みになることと思います。

しかし一般消費者向けだけの小売りですと、いままで経験したことのない、梱包、発送、入金確認の手間など、出荷するだけでよかった農協に比べて驚くほど仕事量が増えてしまいます。

そこで大手飲食チェーンと農業家を繋ぐサイトを使ったり、レストランへ直接卸すことが、単に利益率の増加だけでなく、自分の作ったこだわりの野菜や、自信のある高品質な農作物、米などを一番求める消費者にアピールできる方法であり経済的なメリットがあると考えられます。

それでは「農家がレストランとつきあう5つのメリット」を考えてみましょう。

市場に出すより高値で買ってもらえることが多い

生産者がレストランに直売することの大きなメリットは、やはり農協に卸すよりも利益が大きく上がるということです。

農協への卸価格と市販価格との差は、場合によっては倍程度の差がありますので、業務用の販売といえども3割程度のアップに近い金額で販売することが可能になります。

消費者は食品偽装問題や食中毒事件など、食の安全に多大な関心を持っています。それはレストランにとってもおろそかにすることができず、作ってもらった「〇〇さんの野菜」をオープンにすることで、安心安全をアピールし店のブランドを高める方法の一つともなります。

また農家にとっても一般消費者に自分の独自の製法で育てた農作物を届けることができ、レストランの料理を撮ったインスタグラムを通じて自分の農作物を口コミでアピールできるメリットもあります。

しかし農協を市場を介さないという事は、いままで彼らが行ってきたことを農家自らが請け負うという事で、利益をあげるためには多少の作業の増加や、リスクは覚悟しないといけません。

複数の得意先を持つことで経営的に安定する

繰り返しますが、新型コロナウイルスの感染拡大が生産者と飲食店を直撃した今年4月以降、生産者さんの中には、飲食店や学校給食の供給がメインで販路が途絶えた農家さんもいました。行き場のない野菜を一般消費者にと、悪戦苦闘した記事が新聞を賑わせたのも記憶に新しいです。

将来日本の人口は減少するとはいえ、過去も将来も間違いなく安定しているという市場出荷だけの農業は、販路がひとつしかないので、もしものときに弱いことが今回はっきりと露見してしまいました。

私の知り合いの養鶏場ではレストラン向けの玉子の出荷がストップし一時4トン近くの玉子が在庫として残ってしまいました。この店主は売れ先を一般消費者へと変え在庫を完売し、ピンチを脱し、逆に新しい販売チャンネルとして「玉子のギフト」に注目しているそうです。

一般家庭への宅配や、レストランへの卸しなどと多様な販路を持っていたことが、リスク分散となり、農家の危機を救った。といえます

とれたて野菜

とれたて野菜

最終的に口にするお客様が見える

飲食店に直接卸すには、JAに卸していた時に比べれば、細かいリクエストに答えたり、新しいことに挑戦する必要があったりと苦労することが多いものです。ただ自分が作った農作物が美しい料理に変わり、お客様に美味しく食べてもらえる姿を見ることができます。

レストランに食べに来てくれるお客様の笑顔が、直接あなたに向けられるようになります。得られるお金以上のものがそこにあります。そのことは間違いのない事実だと考えています。

例えば、大切なお客様があなたの自宅を訪れ食事をされるとき、高価ではなくてもきっと一番の食材でおもてなしをされることと思います。その時にお客様が最高の笑みを漏らしたときが、あなたの気持ちが相手に伝わった瞬間です。

それと同じようにあなたの作った野菜を使った『レストランの皿の向こうには、お客様の笑顔』が見えるのを実感できるようになります。

たくさんの情報をもらえるので次のステップに挑戦できる

レストランに食材を卸すようになり、その食材に満足してくれるようになればシェフの知り合いの人を次から次へと紹介してくれるようになります。

良いものがあれば彼らはその情報を自分だけのものにせず拡販してくれるのです。飛び込みでレストランを訪れても会ってくれるは難しいのですが、仲間のシェフからの紹介であるならば、すでに扉のカギは開いているのです。

彼らの硬い繋がりのコミュニティーを利用させてもらいましょう。

またレストランには多くの業種の人が出入りしています。魚屋さんも乾物屋さんも印刷屋さんも建築屋さんもあらゆる業種の人と知り合うことができます。いわゆる異業種交流ともいえますが、彼らとも濃厚な関係を作るようにしてください。農家だけの視点ではなく、多くの視点、視座から物事を考えるようになれば、あたらしいビジネスにチャレンジする近道になります。

視点をちょっと変えるだけでも新たなビジネスの種になることがあるのです。

農業がもっと楽しくなる

多くの人と出会い、多くの関係を作ることにより新しい自分を作ることができます。人と話すことが苦手だけから農業をしているという人もいるでしょう。もしそうならば、もっともっと作った農作物にしゃべらすようにしましょう。。

楽しい農業に

楽しい農業に

シェフは作った人となりが農作物のできに現れることを知っています。どんなに人と話すのが得意な人よりも、作った作物以上に正直で雄弁なものはありません。

「農作物 イコール あなたの人となり」とシェフは考えています。
だからこそ昨日よりは今日。今日よりは明日と美味しい農作物を作り磨き上げていきましょう。

マンネリ化から脱却し、生き生きとした人生を送るきっかけになります。

過去の人と人の出会いが今の自分を作っていると思います。

だとすると未来を作るのは、昨日までは会ったことのなかった、いま目の前にいる人と人との出会いです。今日の点と点との出会いが線となって繋がって、いつか太い線となり面となるのは間違いありません。

シェフとのコミニケションが大事シェフとのコミニケションが一番大事

料亭・レストランと直接つながる!8つのポイント

それでは農家が飲食店と直接に繋がる時、どんなことを考えればいいのか。選ばれる農家との条件とはどんなものかを考察してみました。

珍しい品種が多い

レストランで必要とされているのは、一般的なスーパーや市場では購入できない食材です。

普段目にすることのない珍しい野菜などで料理を作りたいのがシェフの本音です。また、人参やトマトなど一般的な野菜であっても、すごく小さいサイズや、逆にすごく大きなサイズ、形が変わっているもの、特別ビックリするぐらい美味しい物など一般の人が購入することが難しいものを選びます。

ここで注意することは、選ぶ基準の中で「美味しいもの」の順番が最後だということです。少々おいしい位なら見た目の方が優先するのです。だから海外では販売されていても、日本ではまだ取り扱っていない、あるいはまだ東京だけしか普及していない新品種の食材なら必ず飛びつく可能性が高いのです。

多品目・少量栽培で

珍しい食材は、レストランが希少価値をもってお客様に提供するため、大量に販売できるわけではありません。またレストランの献立も日本料理の影響を受け、季節感を重視するようになりました。最低でも二週間に一回で献立が変わるようになりましたので、初期のはしりの収穫時期から使えば、ピークの収穫時にはもう使わなくなります。

そのため1種類ごとの数は少なく、種類は多くつくることがポイントです。

料理01

評判が良かったから来週も使います。との事もあるでしょう。また逆にお客さんの評判がイマイチだったから明日で終わります。そんな時もあると思います。農家やシェフがどんなに評価しても一部のお客様の声のダメ出しが影響力を発揮することもあるのです。

大型ホテルや大型宴会場を持っている飲食店に食材を入れれば、大量に販売することができます。しかし必ず問題が持ち上がります。大型施設では必ず前もってメニューが決まっていますので、「ここ2.3日雨が続いたので、今日の収穫はこれだけです。」「大きい物、小さい物しかありません。」では通りません。飲食ビジネスは、お店とお客様との約束によって成立しているので、お店の信用度が問われることとなります。
直接レストランに卸すのなら食材の入荷状況に応じてメニューを変えることができる小型店やオーナーシェフの店が適当と思われます。

また実際にレストランに卸している農家では、30アールほどの畑に300品種ほどを育てているとのこともあると聞いています。ハーブ類などは、植えっぱなしにしていても大丈夫なため、50種類ほど常備しながら季節にあわせて250種類程度を作るのだとか・・・。

シェフに頼まれて作る食材もあれば、自分で「面白そうだな」と作る食材もあると思いますが、トレンドを見ながら、売れそうな野菜を多品目栽培することがポイントになるのです。そうすれば思ったような色、形、味がでなくても傷は少なくて済み、アイテムが多いことで代わりの食材を提案することができるのでシェフの受ける印象も良くなります。

多くの料理を知る、実際に食べる

「このレストランならこの食材が合うだろう」「あのシェフなら喜んでもらえる」と、いった仮説を立てて実際に栽培するかどうかの判断が必要になります。シェフから信頼されるには、そのレストランや料理のこと、シェフ自身の生い立ちから好みまでも知る必要があるのです。

料理02

野菜だけの知識では足りなくなります。
魚の事、肉の事など幅広い知識が必要となり、調理ができれば最高です。つまりレストランに野菜を卸す農家がシェフ出身だったら、彼の作る農作物はシェフの希望通りの食材に出来上がることに違いありません。

私どもの販売している食材もお客様とのヒアリングの時に、そのレストランの料理にピッタリとか、シェフの隠れた要望を汲み取れるかどうかが成否のカギを握っています。つまり「この人に任せておけば、一流の食材が手に入る」と信頼されることが何よりも大切なのです。

お客様に合わせて臨機応変に応えることがレストランの必要条件なのですから、レストランからの細かい要求にもしっかりと対応していくことがポイントになるのです。

実際にレストランへ行き、料理を食べることも必要です。自分の作った作物がどのように変化し料理になるのかを実感してください。江戸時代の料理書「豆腐百珍」には百種類の料理法が出ています。翌年には『豆腐百珍続篇』がでて計200種類の料理法が知られています。豆腐でさえ200種類を超える料理法があるので、あなたの作っている作物には無限の料理が出来るはずです。

食べることにより感性が磨かれ農家ならではの料理を思いつくこともあります。シェフは常に新しい料理を求めています。シェフと農家とでしか考え付かなかった料理も生み出されるかもしれません。

常にきれいな形、同じ大きさが求められるが・・・

農家にとってすべて同じ大きさを揃えるのは大変です。工場製品ではないのですから農作物が大小あるのは当たり前です。しかしレストランにとって野菜の大きさを揃えることは、一皿の料理を完成させるためには必要条件なのです。

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一皿の上の絵画を描いていると考えればイメージが沸きやすいでしょうか。絵画の一部が大きかったり小さかったりしたら他とのバランスが崩れ、絵画のすべてが台無しになってしまう事が理解できるでしょう。

シェフも農作物の大きさが揃わないというのは十分理解し、難しいことも知っています。しかしシェフにとって一皿の料理は自分を表現する作品なのです。妥協は自分自身に許せないのです。どのくらいの大きさまでが許容範囲なのか、それを知るためにはシェフとの深い関係が必要なのです。

品質を高める

長くレストランと濃い付き合いをするためには、品質を高めることが何よりも大切です。
シェフとの信頼関係が深まれば深まるほど「長い目で見て欲しい」なんて甘い言葉は通じません。
近年、お客様の料理を見る目が実に厳しくなっています。SNSの普及があり都会で流行っているものはすぐに判りますし、食べに行こうとするレストランがどんな料理を提供しているのかもすぐに調べられます。美味しいとの評価がでれば、その期待値は一気に上がっていきます。

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シェフはお客様から常に新しい料理、新しい味を求められ、追いまくられているのです。だから農家は農家の立場で、レストランのシェフの味方の立場に立つことが必要です。そのためにも昨日よりは今日。今日よりは明日と品質を上げていくことが必要なのです。

また食材そのもののクオリティはもちろん、納品時のパッキングも見栄え良くする必要があります。「料理は目で食べる」ともいいますが、同じように食材も「目で選ぶ」のです。

耳の痛い意見こそ、真実の声です

シェフとの信頼関係を作っていくには、耳の痛い意見も取り入れていくことが重要です。
「好き勝手な事を言っている!」と思うか、
「自分のレベルを上げるために教えてくれている!」と思うかの違いです。

また好き勝手なことを言ってくれる関係にならないと長続きしにくいというのも現実です。

そして食材を届けた後は「どうでしたか?」と、レストランの休憩時間などの暇な時間に自分から聞くアフターフォローがポイントとなります。あなたがそのレストランの暇な時間や休み時間など知らないとなると、ただの片思いに終わり、店にとって迷惑にしかなりません。

シェフたちも「この野菜は美味しくない」「この食材はもう少し小さい方がいいな」と思っていても、なかなか言いにくいものです。そこで、自分からフィードバックを求めていくことで、よりシェフの理想に近づけることができます。

自分が良かれと思ってしたことでも、シェフにとってはありがたくないことも多々あります。またシェフの話から自分では気付いていなかったことに気づくことで、農業の軌道修正することができます。

厳しい意見をもらった後は、落ち込むこともあるでしょう。
私など何度も営業車の中で涙を流し、人気のないところに移動して大声で叫んだ事でしょう。前に進むにはその声を独りよがりの声ととらえず、自分の知らない真実の声だと知ることです。そのためには心を強くもち、あくまでも良い関係を作るため、良いものを一緒に作るための意見として取り入れることが大切です。

自分から珍しい野菜を提案する

シェフとの信頼関係を作るには、ただ農作物を作って待っているだけではだめです。自分から提案することが必要です。

料理04

料理04

珍しい食材はその食材を知っているシェフからは飛びついてもらえますが、知らない場合は「どのように食べたら良いのかな」と迷ってしまうものです。そのため、料理をしたときのイメージや、調理方法、美味しい食べ方などを紹介すると検討してもらいやすくなります。

あなたの提案した料理法でお客様に提供することはほとんどありませんが、それにがっかりしたり、提案の努力をやめる必要はありません。役に立っているのです。あなたの話がシェフのイメージを膨らませて新しい料理を作りやすくするのです。

重複しますが、あなたがレストランに提案するときには、まずはレストランに食べに行くことがポイントです。どのような食材でどのような料理を作っているのか。客層や価格帯などをチェックしましょう。

結論として、

苦労はつきません。それを喜びにしましょう

まず飲食店に直接卸す場合は、価格設定が難問となります。

市場の値段を参考とするものの、それよりどれだけ安くするか?
あるいは付加価値が高いのなら、いくらまで価格を高くできるのか?
レストランとしての購入価格の限界点を知ることも必要となります。
独りよがりでは最後には誰も相手にしてくれなくなります。

注文量はレストランの規模によって変化します。
レストランまでの運賃も考慮しなければなりませんし、自分で配達するとしても、わずかな量では採算割れを起こしてしまいます。自分の人件費をタダと計算する農家も見られますが、それによって得られる別の目的がないのなら長期間続くものではありません。

必要な野菜のみを卸すのか、もしくは一定の金額でお任せにしてもらうのか…。発注のスタイルを決めることができる事が逆に、直接卸す時のハードルとなります。飲食店に直接卸すには、JAに卸していた時に比べれば、細かいリクエストに答えたり、新しいことに挑戦する必要があったりと苦労することが多いものです。

成功の秘密があるとするならば、自分が作った農作物が美しい料理に変わり、お客様に美味しく食べてもらえる姿を自分の事として喜びに出来るかどうかにかかってきます。

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それが出来ないようなら、それを生業とする八百屋さんを自分で選び代行してもらう事です。いまでは少なくなったとはいえシェフとの深い絆で結ばれた「八百屋さんらしい、八百屋さん」も生き残っているのです。

レストランの献立は店によって違うのですから、前もって相談さえしていれば、彼らなら収穫のはしりから名残までを、毎日の収穫量に合わせて販売するレストランをチョイスして納品し、品切れを起こさず、かつ収穫した食材を余ることなく売り切ってくれます。

彼らをあなたの子会社として利用する事です。彼らなら自分の店と農家とシェフとがすべてうまくいくように「三方良し」を実現してくれることと思います。

ただ直接卸すという行為は、レストランに食べに来てくれるお客様の笑顔が、直接あなたに向けられる。得られるお金以上のものがそこにある。そのことは間違いのない事実だと断言できます。

最後に、農家が市場以外で販路を見出し、レストランとつながるということは農協を乗り越え、市場を乗り越えて、八百屋さんと繋がるハードルを超えなければなりません。そこには直接にシェフとの人間関係を一から作り上げるという高いハードルがあることを理解していてください。

もし関係性が強い八百屋さんが見当たらなくても、チャレンジしようとする農家さんには、微力ながら市場調査ををはじめ当社がお手伝いをしたいと考えています。