飲食店がこれからも生き延びるためには、単にお腹が膨れる、お腹が膨れて満足すると言うことではなくて心が満足する事が重要だと思っています。
フードビジネスは「意味合い消費」
つまり何が重要なのかを車を購入する時を例に挙げて考えてみましょう。
実用的で燃費の良いトヨタや日産の車を買うのではなく「ランボルギーニ」や「フェラーリ」のように役に立つのではなく、乗ることに意味があるという「意味合い消費」を指します。
トヨタや日産の車は、もし「どこでもドア」が発明されれば誰も乗らなくなるのではないでしょうか。(トヨタさん日産さん、悪気はないので許してくださいね)
ベンツやBMWはちょっと微妙ですね。
でもランボルギーニやフェラーリは絶対になくならない。という意味合いです。
消費者の2つの顔
テレビで値上げのニュースが流れると、消費者インタビューでは「節約しなくちゃ」とか「困るワ~」とかと言うのが流れますが、消費者は2つの顔を待っているのではないでしょうか。
少しでも安い商品を求めて買い物する主婦がいる一方で、趣味のクラフトには進んで高額な材料を使う。はまっている韓流にはお金を惜しまない。そんな人が増えてきています。
クラフトは特に欧米人に当てはまります。
金沢のタクシーの運転手の話では、欧米の方の買い物はシビアでやたらと無駄遣いはせず節約すると言います。でもクラフトに関しては価値があると思えば大人買い(大盤振るまい)をするとの事です。
つまりここで言う節約とは「予算配分」のことです。世界一の大富豪の電気自動車テスラのイーロンマスクでさえ、支払いは少ない方が良いと考えているはずです。
どうでもいいものにはお金は使わないが、自分にとって意味があると思ったら惜しみなくお金を使う。これが意味合い消費です。最近は「推し活」と言う言葉を使いますね。
だからいかに飲食店に意味合い消費のエッセンスを入れるかが近々の課題になると思います。
単価を上げて富裕層だけがこれる店にしょうというのではなく、すべての人が憧れる店になるというわけです。
日常使える店でなくても、お金を貯めて頑張っていきたい、来られる店になればいい。学生さんが何ヶ月もバイトで貯めたお金を使ってでもいきたい店に仕上げなければ、未来は無いのではないかと思います。これこそが意味合い消費、予算配分です。
コロナにより一気に街から店からお客さんが消えました。その後規制が緩和されましたが一気に戻った店と相変わらずガラガラ店が結果として現れました。これが無意識の選別消費です。
常にいかなる時でもお客様に自分の店を思い出してもらい、行きたいと感じてもらわなければならないのです。そのためには過去の成功体験の枠から抜け出して、新しい発想によるメタモルフォーゼが必要です。
また世の中には松竹梅の法則という極端回避性があり、15,000円と12,000円と10,000円があれば真ん中の竹の12,000円が1番売れると言うのは体験上誰でも知っていることです。
しかしその商品に楽しさや体験を付け加えると1番高いものが売れることが多いのです。
今からは、いかに楽しさと体験を付け加えて提供するかが課題となってきます。いわゆる最近流行の顧客体験DXというのがそれにあたります。
追伸:イモムシからサナギ、そして蝶になるメタモルフォーゼ
ドイツ語の変化、変身の意の「メタモルフォーゼ」と英語の「トランスフォーム」の違いを考えます。サナギからチョウになる変態プロセスが「メタモルフォーゼ」で、「トランスフォーム」とは変形の度合いが異なります。
もっとわかりやすく言うと、「メタモルフォーゼ」は全体的に変形させることを指すのに対し、「トランスフォーム」は外見だけ変形する違いです。重要なのは「メタモルフォーゼ」は、全体的に変えるという点なのです。