金沢には料亭旅館 「浅田屋」 さんなど6店を経営している浅田屋で修行をして自分の店を開いたオーナーシェフの小粋な店が多くあります。おそらく金沢の料理店の主人や調理長のや修行先別のデーターを取れば一番多いのではないでしょうか。
日本屈指の和食どころ金沢には創業百年を超える料理屋が数多くありますが、一般的に一番創業しやすく一番廃業しゃすい飲食店の中で、ある一定の割合を常にキープしているのには、やはり秘密があるのではないでしょうか。
もちろん前述の料理屋の中には全国から二代目、三代目の後継者を修行に受け入れ、彼らが自分の店に帰り跡を継いでいる人も多くみられますが、それにしても金沢で開業し、いまも営業している店があまりにも多く感じられます。このブログを通じてその秘密の一端でも知ることが出来れば面白いのではないでしょうか。
さて、その浅田屋さんが10年以上の沈黙を破って満を持してだしてきたのが兼六園のすぐそばにある 「 KANAZAWA SEKITEI 」 である。世間ではあまり取りざたされていないが 「加賀・石亭」 からの改名に注目したいのです。もちろん新幹線の開業で全国はもちろんのこと世界中から観光客が訪れるという事と、金沢の不動産会社・タカラ不動産が 「CRASCO クラスコ」 と改名して成功したブランド戦略も頭にあるであろうが、私はそこに
20年前に旧セゾングループから金沢国際ホテルを取得して嵐を起こした 「ハード戦略」 から 「ソフト戦略・価値観の創造戦略」 への転換を感じ取るのです。
そして長年愛されてきた 「加賀・石亭」 から 「KANAZAWA SEKITEI」 の改名にこそ、その意気込みを大いに感じるのです。
<消費者動向の変化>
内閣府の国民生活世論調査によると、 「心の豊かさやゆとりある生活をすることに重きをおきたいか、それとも、物質的な面での生活を豊かにすることに重きをおきたいか」 という質問に対し、80年を境にして、心の豊かさと回答する人が急激に増えています。さらに今は6割以上の人が消費に心の豊かさを求めると答えています。6割を超えた時から日本人の総意と見てもおかしくはないかと思われます。
また別の質問では同じように80年を境にして、貯蓄や投資で将来に備えるより毎日の生活を充実させて楽しみたいという人も増えています。
よく時代はモノからコトに移ったとも言われます。よいモノを作って顧客を満足させていた時代は終わり、そのモノを使ってどのようなコトができるのかを重要視するようになってきたいうことです。
例えば大型テレビが売れたのは、画面が大きくなって迫力が増したからではなく、それを使って家族団らんの時間が作れるからであって、スターバックスコーヒーもお客様は、コーヒーそのものにプレミアム価格を払うのではなく、 スタッフのサービスや心地よい音楽が流れている雰囲気の良い店で過ごす時間、 コーヒーの味や香りだけではない店全体での体験に価値を認めており、 ここにスターバックスコーヒーの強さがあります。
だとすれば、料理を召し上がって頂くことで精神的な満足をしていただくフードビジネスにとって追い風です。ここに旺盛な古くて新しい消費要求があるからです。
さて具体的に新しくなった石亭の内容を見てもらえばよい。確かに建物は新しくなり、多く改装されていますが、まず最初にお客様が目にするアプローチだけをみても現代建築の中に、大きな無駄と空間を有することにより、相反する日本の美を引き立てるように表現しています。
本店の浅田屋とは差別化を行い、この店は改装前と同じように良いも悪くも日本料理の固定化された概念や約束事にはこだわらず 「美味しいものを好きなだけ」 のコンセプトはそのまま引継ぎ、むしろ強化しているように感じられます。
昭和の初め、日本で最初に一見さんだけが利用できる料理屋の世界に板前割烹の世界を作り出したといわれる京都の 「たん熊」 のスタイルは、実は金沢では大正時代には金沢で 「久善」 に始まっていました。 (しかし、いまこの名割烹店も暖簾をしまってしまい寂しい限りです。)
過去あまた多くの店がこのスタイルを模索していますが、なかなかそのバランスが難しく、お客様の好みも一定ではなく、迎合すれば自身のカラーが亡くなってしまうリスクを抱えながら、やや料亭のほうに重心を置きながら一番成功している店となっています。
ながながと前置きを述べてしまったが、料理を見て、いやご自身で体験して判断してもらうのが一番です。なぜなら料理は頭で考えるものではなく、全身で、五感で感じるものだからです。
11月18日 夜
かなざわ 石亭
〒920-0962 金沢市広坂1丁目9-23 金沢歌劇座横
TEL.076-231-2208 http://www.asadaya.co.jp/sekitei/
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