山菜のほろ苦さとアクの強さが美味しさ秘密です
株式会社松本では、生産者や収穫者と直接コミュニケーションをとり、安心・安全で質の高い食材の確保を行っております。
~松本社長の食材の旅~
シリーズの2回目は、山菜採りの名人とともに、崖を登り沢を下る物語です。
山菜は山や野に自生しているもので、食用にする植物のことをまとめて 「山菜」 と呼びます。今回は、山菜採り名人の舞島さんと、春の山菜を探しにでかけました。
趣味で山菜採りをされている舞島さん。毎年、限られた数量ですが、季節の山菜をご提供いただいております。たらの芽に始まり、こしあぶら、こごみ、わらび、山独活(うど)、かたは、細竹、珍しいところでは、かたくりの花、モミジガサ と採ってきていただいております。
子供にも秘密の隠しポイントを教えてもらいました
そこで今回の取材のため一緒に連れて行って欲しいとお願いしたところ、金沢の中心地から一番近いところへ連れて行っていただきました。
これは異例のことです。というのも自分だけの穴場は誰にも教えないのが普通だからです。例えば、父や祖父が毎年山ほど山菜を採ってきていても、亡くなってしまうと、その場所がどこにあるのか、誰も分からずじまいになってしまいます。なぜなら、山菜のありかは、親兄弟でも教えてはいけないと言われたほど貴重なものだったからです。
ですから、詳しい場所はお伝えできないのですが、湯涌温泉からさらに山に入ります。前にあるのは道なき道。時には崖を登り沢を下り、とても定年過ぎとは思えないほど軽やかな歩みです。しかも見つけるのも早い! ピンポイントで山菜の場所に見当をつけ、次々に採っていきます。負けじと追いかけるのですが、写真を撮るときだけ笑顔を作るのですがついていくのだけでかなり必死です。
春は命をいただく感謝の季節です
この日のお目当ては独活(うど)とタラの芽。金沢市内の高級料亭やホテルにお届けするための食材です。天ぷらなどで使われています。
日本は四季のある世界でも珍しい国です。料理を作る素材は当然その四季の移ろいと共に変ります。春は山菜など「新芽」を食べる季節です。
冬のあいだ寒風にさらされ、あるいは雪の下でじっと縮こまっていた命が、春の訪れと共に土の温度が上がりいっせいに動き始め、ありとあらゆる生命が、色々な植物が芽生えてきます。
春はそういう芽を食べる季節なのです。春に収穫される山菜を食べるということは、その命を食べるということです。季節、自然の恵みをストレートに味わってください。
山菜の一番の美味しさは、あのほろ苦さとアクの強さでしょう。そのアクこそが美味しさの1つですので子供には難しく大人の味といってもいいでしょう。最近になって、たらの芽のように山菜を栽培する農家も出てきましたが、やはり食べ比べるとまったく味が違います。天然物を召し上がっていただくことで、はっきりとした季節の変化も楽しむのが、山菜の良いところなのではないでしょうか。
私たちは本当の美味しさを求めて、そして安全で安心な食材を求めて、今日も産地へ向かいます。この季節だけの旬の食材を求めて…。