ワイワイ系からガラリと変身!? ワタミの大転換ストーリー

居酒屋でわいわいガヤガヤと

居酒屋でわいわいガヤガヤと

居酒屋といえば、「大皿料理を囲んでワイワイ」が定番。でも最近、その定番が大きく揺らいでいるってご存じですか?

かつて日本中を席巻したあの「つぼ八」からの流れをくむワタミは、豊かで楽しいもうひとつの家庭の食卓「居食屋」というコンセプトで、空間ごと楽しむスタイルを広げて1600億円もの売上を叩き出した大企業!
ところがコロナ禍で「みんなでシェアして食べる」っていう居酒屋の醍醐味が、なんと否定される事態に…。
気づけば2023年には売上が721億円にまで縮小。まさに転換のときが来ていたんです。

焼肉?寿司?いや、唐揚げ!? 迷走とチャレンジの連続

その後、業態をガラッと変えて「焼肉の和民」や「すしの和」へシフト!なかでも、注目を集めたのがテリー伊藤さんとコラボした「から揚げの天才」でした。なんと、外食チェーン史上最速の100店舗出店(たったの2年7か月)という偉業を達成!
(問題です。その前の日本最速はどこだと思いますか?みなさんの知っている「いきなり!ステーキ」でした)

唐揚げはみんな大好き

唐揚げはみんな大好き

でも、今は…まさかの…
一店舗も残っていないんです!(びっくりですよね!?)

から揚げ業態にはこんなメリットがありました

・初期投資が安く、すぐ回収できる
・狭いスペースでも出店OK
・アルバイト一人でも運営可能 (ワンオペ!)
・フランチャイズ展開に最適
・牛肉や豚肉に比べて、鶏肉は安くて安定供給されやすかった

コストも抑えやすく、子どものおやつからお酒のつまみ、テイクアウトまで用途バツグン!
家庭でも大人気の、まさに国民食の王様「から揚げ」だったんですけど…

天才も落ちる!? 全店閉店の理由とは…

ではなぜ、あの勢いで広がった「から揚げの天才」が消えたのか?理由はこんな感じです:

① テイクアウト需要の減退:コロナ明けでみんな外食へGO!
② ライバル多すぎ問題:似たような店が乱立、競争激化。
③ コスト増加:原材料(鶏インフルの影響大)・家賃・人件費、全部UP!
④ 価格の上昇:1個99円→150円へ。庶民の味方がちょっと遠のいた…
⑤ 「家で作れる」疑惑:スーパーやコンビニで買えるなら、専門店いらなくない?

つまり、便利だけど「特別感」がなかったんですよね。ワタミの渡邉会長も「完全に失敗でした」と潔く認めちゃってます。

しかも飲食店は3年で3割しか残っていない業種です

しかも飲食店は3年で3割しか残っていない業種です

もともとワタミのような大手企業が出すような業態ではなかったんです。

フライヤーだけで済むなど初期費用が安く、狭いスペースでも出店できるのは個人店むきの業態です。個人店ならオーナーの給料はゼロでも経営できますし、スタッフを雇い、労働時間を守る企業にはハードルが高いですね。ワタミは焼肉業界にも出店していますが、これは無煙ロースターやダクト、内装設備が高く、個人では難しくワタミなどの企業向けの業態です。
初期投資が少なく競合が多いビジネスモデルは参入障壁が低く、差別化の難しさからブーム後に急速に衰退するリスクが高いのです。

次なる一手は!? ワタミが「サブウェイ」を買収!

2024年10月、ついにワタミは新しいステージへ!
なんと、あのサンドイッチチェーン 「サブウェイ」 を買収しちゃったんです。

サブウェイの店内

サブウェイの店内

サブウェイ経営の魅力はこんなところ

・コンロもフライヤーもなくオーブンのみで厨房機器がシンプル
・狭いスペースで開業可能 (6.5坪でOK)
・初期投資も抑えめ(約2000万円)

しかもワタミは有機野菜の農場を持っているので、ヘルシー路線のサブウェイとは相性バッチリ♪
なんと将来的には3,000店舗の展開を目指しているんですって!

サブウェイはなぜ以前うまくいかなかったのか?

かつて日本に480店舗あったサブウェイは、買収時点で180店舗まで減少。その原因は…

ポートフォリオの変化

ポートフォリオの変化

注文が難しすぎる!:パン、野菜、ドレッシング…選ぶの多すぎ問題!初心者にはハードル高すぎ。

無言プレッシャー問題 : 注文に迷ってると後ろの人の視線が痛い…。日本人の気質的に辛いです。

夜にガラガラ問題 : 日本ではランチ需要が高いけど、ディナーはスルーされがち…。

さらに、日本とアメリカの文化の違いも影響してました。

アメリカ:多民族国家= 「自分で選ぶ」楽しさがある

日本:単一民族国家= 「選択肢が多すぎて疲れる」

アメリカ人: 店員との会話を楽しむ

日本人: できれば誰とも話したくない (←シャイなんです)

新しいセット売り

新しいセット売り

サブウェイではオーダー時に、パンの種類や野菜、トッピング、ドレッシングなど、選ばないといけないことが多く客が店員と会話しながら、細かい注文に対応するシステムです。このシステムで全世界に3万店を超える出店をしています。

スタバにも似たような面がありますが、その複雑なオーダースタイルから、初心者は何をどのような基準で選んでいいのか分からずに戸惑ってしまいます。

クリームチーズトッピング、野菜増量

クリームチーズトッピング、野菜増量

初めて金沢の繁華街・片町にスタバが来た時、どう注文していいのか分からず、東京に住んでいた知り合いに頼んで一緒に行ってもらったものでした。日本人には特にハードルが高いんですよね。

じゃあ今後、どうやって成功させるのか?

ワタミの買収前から業績が上向いてきているとの話を聞いていました。
その秘密は 「硬くてパサパサしてる」 と悪評だった、アメリカから輸入していたパンを日本人向けにそれぞれの店で焼くようにして 「しっとりしたパン」 に変えたこと。(日本人は欧米人に比べると、唾液の量が少ないのでパサパサと感じる)

・アメリカにはない日本人向けのオリジナルメニューの開発
・セットメニューを導入して注文を簡単にしたこと。
・また少しずつだがタッチパネル方式によるセルフオーダーシステムの導入を展開していること。
これにより撤退していた京都や長崎などに再進出しているなど復活の兆しが見えてきたところでのワタミの買収です。
そこでそれを確認するために、12年ぶりに金沢の郊外・野々市のワタミに行ってみたら、なんと!

セルフオーダー端末(タッチパネル方式)が導入されてました!

これは革命です。

セルフオーダシステム

セルフオーダシステム

お客さんにとってのメリット

・ 誰とも話さずに注文・支払いができる
・ メニューがわかりやすく、選びやすい
・ 注文がサクサクとスムーズで、時間も短縮できる

スタッフ側のメリット

・ 作業スペースがコンパクトで効率的
・ 作業効率がUPして、かつ注文ミスが少ない
・ 接客の負担が減り、作業に集中できる

つまり、サブウェイの「難しさ」を解消しながら、オーダーメイドの楽しさも残す工夫で、お客にもスタッフにも嬉しい新システムなんです♪ (現在店舗の10%位が導入済らしい)

カスタマイズを選択する

カスタマイズを選択する

また実際食べたらおいしかったんですよ。
かって昔、金沢で食べた時は、ストレスがたまった記憶しかなく味は覚えていないんです。
味のレベルが上がったこととストレスがなかったのがその原因だと思います。

でも気をつけたいポイントも…。

便利すぎるがゆえに、店員さんとのやりとりが減ってしまい、接客のぬくもりが感じにくくなる懸念も。
また、「パッと食べたい!」というファストフード本来のスピード感とはちょっと違うスタイルなのも事実。

過去のワタミならば、どうせ出来るまで待合で、あるいは客席で待っているのなら、オープンキッチンを止めてクローズにして人件費と経費節減を!なんてやる迷走の可能性も残っているわけで・・・・。

今一度はっきりと言いますが、サブウェイの魅力・原点は、フレッシュな野菜とオーダーメイドの楽しさです。
具材を目の前ではっきりと見れる安心感があって、ファンは根強いんです!
今後、ワタミがどうサブウェイを育てていくのか、目が離せませんね。

注文も簡単で美味い!

注文も簡単で美味い!

まとめ:ワタミの再挑戦は「健康×手軽さ」

居酒屋の時代が変わり、唐揚げ業態では失敗…。
そんな中でもワタミは、新しい食のあり方を模索しながら、「健康的で、選べる、手軽な食事」というニーズに応えようとしています。
サブウェイの再ブレイク、あるかもしれませんね!

次のブログは、サブウェィの今後の戦略を考えました。